Dr.パルナサスの鏡

『Dr.パルナサスの鏡』について

テリー・ギリアム監督による2009年のファンタジー映画『Dr.パルナサスの鏡』は、視覚的な幻想と深いテーマを持つ作品です。本作は第62回カンヌ国際映画祭で上映され、PG12に指定されています。

あらすじ

物語の中心にいるのは、1000年の人生を持つというパルナサス博士です。彼は、自身の娘ヴァレンティーナ、侏儒のパーシー、若い団員アントンと共に旅をしながら、サーカスのような興行を行っています。この興行は「パルナサス博士のイマジナリウム」と呼ばれ、鏡の中に観客を誘い出し、彼らの内面の欲望を見せるというものです。博士はこの鏡を使い、悪魔と賭けをする中で、どちらが客を誘惑できるかを競っています。しかしこの賭けには重大な代償が待ち受けており、博士は16歳になった娘ヴァレンティーナを悪魔に引き渡さなければならない運命にあるのです。

ある日、一行は橋の上で自殺を試みる若者トニーを救います。記憶を失ったトニーは、博士の一行に参加し、商才を発揮して興行を盛り上げる存在となります。しかし、彼には暗い過去があり、児童売買に関わっておりマフィアに追われています。さらに、彼が鏡の世界に入るたびに外見が変わるという運命を背負っています。

物語は、悪魔との賭けの制限時間が迫る中、各キャラクター間の複雑な思惑が絡み合う展開となります。悪魔であるMr.ニックは、博士が引き渡すことになっている娘ヴァレンティーナを巡って博士と駆け引きを繰り広げます。

登場人物

• - トニー・シェパード（演：ヒース・レジャー/ジョニー・デップ/ジュード・ロウ/コリン・ファレル）

本作の主人公であり、記憶喪失の青年。ジャーナリズムをモチーフにした彼のキャラクターは、陽気でありながら複雑な背景を持ち、他のメンバーとの関係性を深めていきます。

• - パルナサス博士（演：クリストファー・プラマー）

物語の語り手であり中心人物。過去の賭けによって不老不死を手に入れましたが、その代償として娘を失う運命に苦しんでいます。

• - ヴァレンティーナ（演：リリー・コール）

美しさと自由を愛するヒロイン。悪魔の要求に無自覚なまま、理想の恋を求めて旅しています。

• - Mr.ニック（演：トム・ウェイツ）

悪魔として博士と賭けを交わす人物。彼の軽快な性格は、物語に独特の緊張感を与えます。

• - アントン（演：アンドリュー・ガーフィールド）

博士の一行の一員で、物語の中で重要な役割を果たします。彼の優しい性格は、トニーやヴァレンティーナとの関係に影響を及ぼします。

製作の背景

本作の撮影は2007年12月にロンドンで開始されましたが、主演のヒース・レジャーが2008年に急逝したことで一時的に撮影が中断されるという困難に直面しました。その後、親しい俳優たちが彼の役を引き継ぐことが決まり、撮影は再開されました。ヒースの遺族には、出演料が寄贈される形が取られました。

評価

本作は、Rotten Tomatoesで支持率が64%という結果が出ています。Metacriticでも平均点65/100と評価されるなど、賛否が分かれつつも一定の評価を得ています。

最後に

『Dr.パルナサスの鏡』は、幻想的でありながらも、深い人間ドラマを描いた作品です。視覚に訴える映像と、心に響くテーマが観客を魅了します。

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