E・C・ベントリー

エドマンド・クレリヒュー・ベントリーの生涯と作品

エドマンド・クレリヒュー・ベントリー（1875年7月10日 - 1956年3月30日）は、イギリスの著名なジャーナリスト、詩人、そして推理作家として知られています。特に、彼の代表作である長編推理小説『トレント最後の事件』は、推理文学の歴史において重要な位置を占めており、後世の作家にも多くの影響を与えました。ベントリーはのちに二男がイラストレーターとして活躍したことでも知られています。

初期の人生と教育

ベントリーはロンドンに生まれ、セント・ポール学院で学びました。ここで、彼は一つ年上のギルバート・ケイス・チェスタートンと出会い、二人の親友関係は生涯にわたって続きました。ベントリーは、チェスタートンが後に自らの作品『木曜の男』を彼に捧げるなど、互いに影響を与え合う存在となります。彼はその後、オックスフォード大学のマートン・カレッジに進学し、1896年にはオックスフォード・ユニオンという学生討論会の会長を務めました。

ジャーナリストとしての活動と詩の世界

1902年から、ベントリーは『デイリー・ニューズ』紙、さらに『デイリー・テレグラフ』紙の編集に関与し、その傍らで執筆活動を行いました。彼の最初の出版作品は1905年の詩集『Biography for Beginners』であり、これは「クレリヒュー」と称される四行詩スタイルを生み出しました。このスタイルは、その後の作品にも影響を与え、続編もいくつか出版されました。

推理小説の革新

1913年に発表された『トレント最後の事件』は、従来の推理小説の枠を超えた作品として評価されており、推理小説黄金時代の先駆的存在とされています。この作品では、単に事件を解決するだけでなく、恋愛の要素も取り入れられています。タイトルに「最後の」と記されているものの、ベントリーは続編を書く意図がなかったにもかかわらず、作品の成功に応じていくつかの続きの物語が求められました。

特に記憶に残るのはH・ワーナー・アレンとの共著による『トレント自身の事件』であり、評価は必ずしも高くはありませんでした。しかし、短編集『トレント乗り出す』はエラリー・クイーンによって選ばれ、推理短編集の重要なリストにも名を連ねるなど、その価値は再評価されています。これにより、ベントリーの作品は短編でも高く評価されることとなりました。

晩年と遺産

1936年に親友チェスタートンが亡くなると、ベントリーは1949年までディテクションクラブの二代目会長を務めました。彼の生涯を通じて、文学界に残した影響は計り知れません。彼の著作は、詩の世界と推理小説の枠を越え、今なお多くの読者に愛され続けています。ベントリーの作品は、変わらぬ魅力を持ち続け、推理小説における革新の足跡を刻みました。

主な作品一覧

• - 詩集

- Biography for Beginners (1905年)
- More Biography (1929年)
- Baseless Biography (1939年)

• - 推理小説

- トレント最後の事件 (1913年)
- トレント自身の事件 (1936年)
- トレント乗り出す (1938年)

彼の作品は、推理小説の枠組みを打破し、その後の文学への影響を与え続けています。

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