E・W・スクリップス・カンパニー

E・W・スクリップス・カンパニー：メディアの進化を牽引する企業

E・W・スクリップス・カンパニーは、1878年にエドワード・ウィリス・スクリップスによって設立された、歴史あるアメリカのメディア企業です。当初は新聞社としてスタートし、次第に放送、デジタルメディアへと事業を拡大。長年にわたり、アメリカ社会に多大な影響を与えてきました。現在では、テレビ放送を中心としたメディア事業を展開し、人々の情報収集、エンターテイメントに貢献しています。

創業から新聞王国の構築

1878年、エドワード・ウィリス・スクリップスはクリーブランドで「ペニー・プレス」を創刊。これがE・W・スクリップス・カンパニーの始まりでした。その後、スクリップスとその異母兄弟ジョージ・H・スクリップスは、複数の新聞を統合し、近代的な新聞チェーンを築き上げました。1895年には、シンシナティ・ポストのゼネラル・マネージャー、ミルトン・A・マクレーとの協業により「スクリップス＝マクレー・リーグ」を形成、事業は急速に拡大していきました。

20世紀に入ると、1922年に社名を「スクリップス・ハワード新聞」に変更。同年にE・W・スクリップス・カンパニーが設立され、スクリップスの家族が株式を保有する体制が整えられました。ニューヨーク証券取引所に上場し、新聞事業の拡大を続けました。

この時代、スクリップスはニュース配信サービスのNEA（ニュースペーパー・エンタープライズ・アソシエーション）を設立。1907年にはユナイテッド・プレス通信社（UP）を創設し、1958年にはUPI（ユナイテッド・プレス・インターナショナル）へと発展させました。さらに、ユナイテッド・フィーチャー・シンジケートを通じて、多数のコミックストリップなどを配信するなど、シンジケーション事業でも大きな成功を収めました。

放送事業への進出と多角化

1935年には、ラジオ局の買収を通じて放送事業へ進出。その後、テレビ局の開設にも成功し、テレビ放送事業を拡大していきました。戦後には、WEWS-TV（クリーブランド）、WMC-TV（メンフィス）、WCPO-TV（シンシナティ）といった主要テレビ局を開設し、順調に事業を拡大していきました。

1980年代以降は、ケーブルテレビ事業へも進出。スポーツサウス、フードネットワーク、HGTVといったチャンネルを設立し、ケーブルテレビ業界にも大きな影響を与えました。1988年には株式公開を果たし、事業の多角化をさらに推し進めました。

21世紀の挑戦と変革

21世紀に入り、E・W・スクリップス・カンパニーは新聞事業をスピンオフ。放送事業とデジタルメディア事業に注力する戦略に転換しました。2010年にはYouTubeチャンネルを開設するなど、デジタルメディアへの積極的な取り組みも開始しました。Newsyの買収や、カッツ・ブロードキャスティング買収によるデジタルサブチャンネルへの進出など、時代の変化に合わせた戦略的な経営が続けられています。

現在、スクリップスはアメリカ各地で多数のテレビ局を所有・運営しています。ABC、CBS、NBC、FOXなど主要ネットワークの系列局を多く抱え、アメリカ国内の広範囲にわたる視聴者へリーチしています。

スクリプスの理念

企業モットーである「Give light and the people will find their own way（光を与え、人々は自分の道を見つける）」は、スクリップスの歴史と企業理念を象徴しています。良質な情報とエンターテイメントを提供し、人々が自身の判断で道を切り開いていけるよう支援するという、創業以来変わらない理念を現在も継承し、メディア業界をリードする企業として、その歩みを続けています。

もう一度検索