E級駆逐艦 (2代)

E級駆逐艦：イギリス海軍の駆逐艦の変遷

E級駆逐艦は、イギリス海軍が1931-32年度計画で建造した駆逐艦の艦級です。これは、C級、D級駆逐艦の設計を基に、対空兵器を強化した改正型として9隻が建造されました。エクリプスをネームシップとし、エクリプス級とも呼ばれることがあります。

設計の背景

イギリス海軍は、第一次世界大戦の戦訓と新しい技術を取り入れ、1924-25年度から駆逐艦の建造を再開しました。まず、改W級駆逐艦を基にプロトタイプとしてアマゾンとアンバスケイドが建造され、その後、A級、B級、C級、D級と順次量産・改良が進められました。C級、D級は好評であり、その設計を踏襲しつつ装備を改正したのがE級です。

設計の特徴

E級は、船首楼型、2本煙突という基本構成をC・D級から引き継いでいます。船首楼は3層構造で、上甲板に居住区と無線電信設備、中甲板に居住区、下甲板に弾火薬庫と燃料庫が配置されました。艦橋構造物には防弾鋼板が採用されています。E級では、水密性向上のため缶室が2室から3室に増やされ、機関区画が若干延長されましたが、機関部の重量はほぼ変化ありませんでした。

機関構成もC・D級と同様で、アドミラルティ式3胴型水管ボイラーとパーソンズ式オール・ギヤード・タービンが採用されています。蒸気温度は、315.5℃から326.7℃へと高温化されました。独立した巡航タービンは持たず、高圧タービン内に設ける方式が採用されました。

装備の変遷

艦砲は、45口径12cm砲（QF 4.7インチ砲Mk.IX）4門を搭載するという点ではA～D級と同様です。しかし、従来の平射砲であるMk.XIV砲架に代わり、仰角を40度に増したことで、限定的ながら両用砲としての性格を持つMk.XVII砲架が採用されました。このため、高角砲は廃止され、対空兵器は4連装12.7mm機銃のみとなりました。ただし、エクスマスでは4.7インチ砲が1門増備され、計5門となりました。射撃指揮は、対水上用のAFCCおよび方位盤で行われ、対空用としては高角照準鏡を備える程度でした。

水雷兵器としては、21インチ魚雷発射管4連装2基が搭載され、搭載魚雷はMk.IVからMk.IXに更新されました。また、エクリプスなど2隻は、高速敷設艦への改造が可能なように、新造時から機雷敷設用レールを設置していました。

第二次世界大戦勃発後、生き残った艦は護衛駆逐艦として改装され、271型レーダー、70口径20mm機銃、45口径7.6cm高角砲などを装備し、対空火力を強化しました。また、ヘッジホッグ対潜迫撃砲や爆雷搭載数を増やし、対潜能力も向上させました。

同型艦とその後

E級駆逐艦は嚮導艦1隻を含む9隻が建造されましたが、うち6隻が戦没しました。大戦中にはカナダ海軍に、大戦後にはギリシャ海軍にそれぞれ1隻が貸与されました。

E級駆逐艦は、イギリス海軍の駆逐艦の発展において重要な位置を占めています。C級、D級の設計を基に、対空・対潜能力を強化する過程を示しており、その後の駆逐艦の設計に大きな影響を与えました。

もう一度検索