E-3 (航空機)

E-3セントリー（AWACS）についての概観

E-3はボーイング社が製造した早期警戒管制機で、その愛称は「セントリー」です。この機体は、空中からの早期警戒と指揮統制の機能を持つため、戦闘任務において非常に重要な役割を果たします。1975年に初飛行を成功させたE-3は、その後長い間、アメリカ軍やNATOの重要な要素として活躍しています。

開発の背景

アメリカ軍は、ベトナム戦争の頃から空中早期警戒機の必要性を痛感しており、EC-121を運用していました。しかしこの機体には指揮統制能力に限界があり、より高度な管制機能を具備する新型機の開発が必要とされました。1963年から、その後継機の検討が始まり、技術の進展により、ルックダウン能力を持つレーダーが求められました。

1966年には開発競争が始まり、ボーイング社が選ばれ、新型機の設計に取り掛かることになりました。1970年にボーイング707の改造が承認され、2機の試作機が製造されました。試作機は1972年に初飛行を行い、その後、ウエスチングハウス社製のレーダーが採用されることとなりました。そして、1975年に量産型が初飛行し、アメリカ空軍に1977年から配備が開始されました。

機体の設計

E-3の機体は707-320Bをベースにしており、強力なレーダー装置を搭載しています。そのため、機体には窓がほとんどなく、操縦席は対電磁波防護が施された特別な設計となっています。機体の後部には大きな円盤状のレーダードームが備えられ、これは直径9.1メートルにも及びます。運用時には油圧により水平方向に回転し、冷却システムも搭載していります。

E-3は、アメリカ空軍やNATOの機体が無給油で8時間以上の飛行が可能で、航続距離は6400kmに及びます。特にアメリカの機体は航続時間や性能の維持のため、空中給油を行うこともあります。

アビオニクスとレーダー

この機体に搭載されているAN/APY-1レーダーは、250ミリに達する探知距離を誇り、同時に600以上の目標を探知する能力を持ちます。さらに、低空を飛行する目標や海上の目標に対する捜索機能も整っており、様々な運用シナリオに対応することが可能です。

近代化と運用

E-3は、長年に渡って数回の近代化改修が行われてきました。1987年から始まったブロック30/35の改修では、コンピュータの処理能力向上や新しい航法装置の追加が行われました。その他にも、電子戦やデジタル通信機能の強化を目的とした改修が数多く実施され、今も進化を続けています。

運用国とその役割

現在アメリカを含む多くの国で運用されているE-3は、24機がアメリカ軍に属し、そのほかイギリス、フランス、サウジアラビア、NATOなど様々な国でも配備されています。各国の運用によって、E-3は任務を遂行するための重要な情報を提供し、戦闘司令部としての役割を果たしています。それぞれの機体は、その国の特殊な要件に基づいて装備が異なります。

結論

E-3セントリーは、その先進的な技術と多目的な運用能力により、早期警戒管制機としての地位を確立しています。性能向上や近代化改修が進められる中で、さらなる進化が期待されます。また、後継機の開発も議論されていますが、当面はE-3が重要な任務を担い続けるでしょう。

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