E-mu Emulator

E-mu Emulator（イーミュー エミュレータ）

E-mu Emulatorは、1981年から米国E-mu systems社によって発売されたサンプラー機器で、音楽制作界隈に大きな影響を与えました。当時のサンプラーは、高価格と大きなサイズから音楽スタジオや企業のみが所持できるものでした。しかし、Emulatorはそれらに比べて手頃な価格とシンプルな操作性を提供し、ユーザーに広く受け入れられました。

背景

1980年代の音楽制作には、いくつかのプレミアムなシーケンサーやサンプラーが存在しました。たとえば、シンクラヴィアやフェアライトCMIがそれに当たりますが、これらは極めて高価で、操作も難しいため、個人ユーザーには丸ごと手が出ない状況でした。E-muはこの問題を解決するために、手頃な価格と使いやすさを兼ね備えたEmulatorを発表。結果として、音楽家やプロデューサーに新たな選択肢が提供されました。

Emulatorシリーズ

Emulatorはその後いくつかのモデルに発展していきます。

1. Emulator（1981年）

最初のモデルで、サンプラーの基本機能を備えていますが、フィルターやMIDIの機能は初期型には含まれていませんでした。8ビットの分解能、27kHzのサンプリング周波数を持ち、サンプリング・タイムは約2秒。メモリー容量は128KBで、フロッピーディスクからサンプルデータをロードして利用可能です。後期モデルでは、シーケンサーやさまざまな周辺機器も追加され、使い勝手が向上しました。

2. Emulator II（1984年）

Emulatorの進化版で、パネルが広がり、さらに多くの機能が搭載されています。基本的なフィルター、エンベロープ、LFOが初めから付属し、メモリー容量も512KBから1MBまで増設可能です。61鍵のキーボードも搭載。

3. Emulator III（1988年）

デザインが青系からグレーに変更され、フロントパネルに6個のボタンが新しく配置されたモデルです。サンプリング周波数は44.1kHzと31kHzの2種類があり、メモリー容量も4MB（最大8MBまで増設可能）。D/Aコンバータやアナログフィルターを装備し、より複雑な音作りが可能になりました。

4. EIIIxp

EmulatorIIIを基にしたラックマウントモデルで、基本機能はEmulatorIIIと同一ですが、アナログ入力が省略され、メモリー容量が8MBに増量されています。デジタル接続ポートの変更が主な特徴です。

5. Emulator IV（1996年）

発音数が1ボイスごとにD/Aコンバータを搭載したモデルで、16MBのサウンドROMを持つESynthというモデルも存在します。また、このモデルではE4Kというキーボード型も展開され、メモリー容量は128MBというスペックを誇ります。その後、内部設計が一新されたE4Ultraシリーズも登場しました。

まとめ

E-mu Emulatorは、サンプラーというジャンルにおいて、コストパフォーマンスを優先しながらも、音楽制作の現場における創造性を引き出しました。その進化したラインナップは、音楽家たちに新たな可能性を広げ、現在の音楽シーンにも影響を与え続けています。

もう一度検索