E.D.F.

E.D.F. (EARTH DEFENSE FORCE)

作品概要

1991年3月、ジャレコからアーケード向けビデオゲームとしてリリースされた横スクロールシューティングゲーム。本作のタイトル「E.D.F.」は「EARTH DEFENSE FORCE」、すなわち「地球防衛軍」の略称です。突如現れた謎の存在「アギーマ帝国」による地球破壊計画を阻止すべく、プレイヤーは開発されたばかりの特殊機動戦闘機XA-1のパイロットとして立ち向かいます。

ゲームシステム

操作は1本のレバーと2つのボタンで行います。全6ステージ構成。基本的なゲームプレイはオーソドックスな横スクロールシューターですが、最大の特徴として一般的なシューティングゲームに見られる「残機」の概念がなく、ライフ制を採用している点が挙げられます。自機の耐久力であるシールドがゼロになるとゲームオーバーです。

また、敵を倒して得点を稼ぐことで経験値が蓄積され、これにより自機がレベルアップする成長要素があります。レベルアップにより、使用できる武器の威力が増加したり、シールドの最大値が強化されたりします。このレベルアップシステムは、ゲームを有利に進める上で重要な要素となっています。

武装とオプション

自機の攻撃は、通常は随伴する2機のオプションから発射されます。各ステージの開始前には使用する武器を選択する画面が表示されます。オプションが自機に接続されていない状態では、選択した武器に加え、自機本体からも低威力の通常弾が発射されるようになります。パワーアップアイテムのようなものは存在せず、武器の強化は経験値獲得によるレベルアップのみで行われます。武器レベルは最大で5段階まで上昇し、レベル5到達後も経験値を稼ぎ続けることでシールドの強化がさらに進みます。

ゲーム中に登場する主な武器は以下の通りです：

VULCAN: 広い範囲に多数の弾を高速で発射するバルカン砲。多くの敵をまとめて攻撃できますが、一発あたりの威力は控えめです。
LASER: 小型敵を貫通するレーザー兵器。発射速度や単発威力は標準以下で、やや扱いにくい武装です。
ATOMIC: 前方に弾を発射し、着弾点周辺に強力な爆発を起こす、一般的なボムに近い性質を持つ武器。爆風に巻き込まれた小さな敵弾を消滅させる効果もあります。
HOMING: 敵を自動追尾する弾を発射します。連射性能や単発火力は低いですが、敵に確実に命中させられます。
EXPOLODE, S.LASER, PHOTON, GRENADE: これらはスーパーファミコン版で追加された武器です。炸裂弾、追尾レーザー、チャージショット、機雷弾など、それぞれ異なる特性を持ち、ゲーム展開に新たな選択肢を与えます。

自機には2機のオプションが随伴します。これらは分離させることも可能で、分離状態でも攻撃は行えますが、武器の威力は低下します。一方で、オプション自体に小型弾を消すバリア機能が付与されます。オプションの配置は「フォーメーション」として複数用意されており、自機のレベルアップに応じて使用可能なフォーメーションが増加します。フォーメーションはプレイ中に自由に切り替えられます。

UNION: 最初から使用可能。オプションが自機に密着しており、武器の威力が最も高くなります。バリア機能は使用できません。
ROLLING: 最初から使用可能。オプションが自機の周囲を回転します。武器威力は低下しますが、自機本体からの通常弾も発射されるため総攻撃力が増します。
SHADOW: レベル3から使用可能。オプションが自機の動きを追従して配置されます。
HOMING: レベル5から使用可能。オプションが敵を自動追尾して攻撃します。敵がいない場合は自機の後方で待機します。

ストーリー

物語は西暦20*年、国家間の壁がなくなり地球統合が目前に迫った時代から始まります。統合条約締結のための最終会合が開かれていたワシントンD.C.に、「アギーマ帝国」と名乗る勢力から「24時間後に衛星軌道上から全世界の原子力発電所にビーム攻撃を行う」という、地球壊滅を予告する声明が届けられます。これを受け、会合の目的は条約締結から、アギーマ帝国への対抗策を練るための対策本部へと急変します。

ちょうどその頃、地球統合準備部隊の手により、統合後の主力となる特殊機動戦闘機XA-1の開発が完了しました。このXA-1はオービットブースターにより単独での大気圏離脱が可能であり、最新鋭の非接触型攻撃オプションを含む各種武装を備えた高い戦闘力を持ちます。対策本部はXA-1の能力に着目し、これを地球防衛軍（E.D.F.）の戦力として出動を要請します。XA-1の出撃準備が急がれる中、衛星攻撃に先立って、アギーマ帝国の飛行型機動兵器による先制攻撃が開始されるのでした。

移植と音楽、その他

アーケード版は1991年に『スーパーE.D.F.』としてスーパーファミコンに移植され、新たな武器や追加要素が加えられました。このスーパーファミコン版は後にWii（2011年）、Wii U（2015年）のバーチャルコンソール、そしてNintendo Switch Onlineの特典ソフト『スーパーファミコン Nintendo Switch Online』（2019年）でも配信されています。

アーケード版自体も、2011年にiOS版が登場したほか、2020年にはハムスターが手掛ける「アーケードアーカイブス」シリーズの一作品としてNintendo Switch版とPlayStation 4|PlayStation_4版がリリースされ、当時のゲーム体験を手軽に楽しめるようになりました。

ゲーム内の楽曲は、アーケード版を多和田吏氏が、スーパーファミコン版のオリジナル曲およびAC版のアレンジを高芝泰彦氏が担当しています。

ちなみに、アーケード版のエンディングスタッフロールに、敵組織名「AGIMA EMPIRE'S」が「AZYMA EMPIRE'S」と誤記されている箇所があります。

ゲーム雑誌『ファミリーコンピュータMagazine』の読者投票集計企画「ゲーム通信簿」では30点満点中22.12点という評価を得ており、スーパーファミコン用ソフト全体（1993年時点の323本中）で73位に位置付けられています。

関連作品としては、本作と同じプロデューサー荒井正広氏が手掛け、本作と並行して開発されていた未発売のメガドライブ用ソフト『P-47II THE FREEDOM STAR』が存在します。この『P-47II』の開発チームは、後に『スーパーE.D.F.』の開発を担当しています。

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