EDEN (アルバム)

LUNA SEAの代表作『EDEN』：創造と苦悩の軌跡

1993年、LUNA SEAのメジャー2作目にして通算3作目のオリジナルアルバム『EDEN』がリリースされました。本作は、バンドの音楽性を大きく反映した重要な作品であり、その制作過程には、多くの苦悩と創意工夫が凝縮されています。

制作：試行錯誤と限界への挑戦

『EDEN』のレコーディングは1ヶ月半にも及ぶ長期間に渡り行われました。メンバーは楽曲のアレンジに徹底的にこだわり、互いの演奏方法を何度も相談し合うなど、試行錯誤を繰り返しました。徹夜作業が続き、能率は悪化する一方でしたが、「勢いを失いたくない」という強い意志が、彼らを突き動かしました。

特に、ベーシストのJは、楽曲の完成度を高めようと自らを追い込み、精神的にも肉体的にも限界に達するほどでした。この経験は、後のLUNA SEAの大きな転換点となり、翌年のアルバム『ROSIER』の制作にも大きな影響を与えました。

楽曲解説：多様な表現と進化

『EDEN』に収録された楽曲は、ほとんどが本作のために書き下ろされたものです。それぞれの楽曲には、LUNA SEAの音楽的進化と多様な表現方法が刻み込まれています。

JESUS: ライブで頻繁に演奏される人気曲であり、バンドの代表曲の一つとして高い人気を誇ります。
BELIEVE: 1stシングルとしてリリースされた楽曲。アルバムバージョンとシングルバージョンでは、ミックスや音質に違いが見られます。
Rejuvenescence、RECALL、ANUBIS、LASTLY: これらの曲は、LUNA SEAの音楽性の幅広さを示す多様な楽曲です。特に「ANUBIS」は、過去にライブで演奏されていた楽曲が、本作で完成形として収録されています。
IN MY DREAM (WITH SHIVER): 2ndシングルとしてリカットされた楽曲。レコーディング最終段階でベースラインが変更されるなど、細部にまでこだわりが感じられます。
STEAL、LAMENTABLE: これら2曲は、シームレスに繋がった構成になっており、楽曲間の流れの工夫が感じられます。「STEAL」はシャッフルのリズムを取り入れた楽曲です。
Providence: ワルツのリズムが特徴的な楽曲で、SUGIZOのヴァイオリンが印象的です。ライブでも頻繁に演奏され、高い人気を誇ります。この楽曲で使用されているリフは、SUGIZOのソロアルバム『TRUTH?』にも収録されています。
STAY: この曲は、アルバム全体を締めくくるにふさわしい、静謐で美しい楽曲です。

アルバムの評価とその後

『EDEN』は、LUNA SEAの音楽性における転換期を象徴する作品です。以降、全ての楽曲の作詞作曲クレジットは「作詞・作曲・編曲:LUNA SEA」に統一されることとなり、バンドとしての結束とアイデンティティが明確になりました。また、先行シングルやシングルカット曲が収録された初めてのアルバムでもあります。

2007年には、最新リマスタリング音源とPVを収録したDVDとの2枚組で再発され、2018年にはさいたまスーパーアリーナでのライブ『SEARCH FOR MY EDEN』で、一部を除く全曲が演奏されました。これらの事実は、『EDEN』が、今もなお多くのファンに愛され、LUNA SEAの歴史において重要な位置を占めていることを示しています。

参考文献

BAND SCORE LUNA SEA / EDEN（ドレミ楽譜出版社、1995年3月30日）ISBN 4-8108-3897-8

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