EFIシステムパーティション

EFIシステムパーティション（ESP）とは

EFIシステムパーティション（ESP）とは、UEFI（Unified Extensible Firmware Interface）に準拠したコンピュータで使用される、データ記憶装置（ハードディスクドライブ、ソリッドステートドライブなど）上の特別なパーティションのことです。

役割

コンピュータの電源投入時、UEFIファームウェアはESPに保存されているファイルを読み込み、インストールされているオペレーティングシステムや各種ユーティリティを起動します。つまり、ESPはシステムの起動に不可欠な役割を果たしているのです。

構造

ESPは、UEFIで規定されたFATベースのファイルシステムでフォーマットされている必要があります。ただし、このファイルシステムの仕様は、従来のFAT仕様とは異なります。

ESPには、以下のものが含まれます。

他のパーティションにインストールされたオペレーティングシステムのブートローダまたはカーネルイメージ
起動時にファームウェアが使用するデバイスドライバ
OS起動前に実行されるシステムユーティリティプログラム
エラーログなどのデータファイル

詳細

ファイルシステム

ESPは、UEFIで規定されたFATファイルシステムに基づいたファイルシステムでフォーマットされている必要があります。GPT（GUID Partition Table）ディスク上のESPのGUIDは`C12A7328-F81F-11D2-BA4B-00A0C93EC93B`であり、MBR（Master Boot Record）ディスクでのIDは`0xEF`です。UEFIファームウェアは、GPTディスクとMBRディスクの両方をサポートする必要があります。

互換性

UEFIは、パーティションの最初のブロックを、従来のブートセクタを生成するための予約領域として扱うことで、従来のシステムとの後方互換性を提供しています。UEFIファームウェアは、CSM（Compatibility Support Module）を通して従来のBIOSモードで起動する場合を除き、MBRのコードは実行しません。

MBRサポート

UEFIの仕様では、MBRパーティションテーブルの完全なサポートが求められます。しかし、一部のUEFI実装では、ブートディスク上のパーティションテーブルの種類を検出し、BIOSベースのCSMブートに切り替えることで、MBRディスクのESPからのUEFIブートを妨げる場合があります。

リムーバブルドライブ

UEFIファームウェアは、USBフラッシュドライブなどのリムーバブルドライブからの起動をサポートします。この場合、リムーバブルドライブはFAT12、FAT16、またはFAT32ファイルシステムでフォーマットする必要があります。ブートローダはESP標準ファイル体系に基づいて保存されているか、ブートローダーの完全パスをシステムのブートマネージャに渡す必要があります。

使用例

Linux

GRUB2とelilo: Linux用のUEFIブートマネージャとして提供されます。UEFIファームウェアによって読み込まれると、ESPに限らず、サポートするすべてのデバイス、パーティション、ファイルシステムにあるカーネルイメージにアクセスして起動できます。
EFI Boot Stub: 標準のUEFIブートローダを使用せずにLinuxカーネルを起動できます。自身をPE/COFFイメージと見せかけてファームウェアにUEFIアプリケーションとして認識させることで、EFI Boot Stub付きx86カーネルイメージをUEFIファームウェアから直接読み込み・実行させることができます。
Gummiboot (systemd-boot): ESPのみにアクセスしてUEFIイメージを読み込み・実行するシンプルなUEFIブートマネージャです。他のパーティションやファイルシステムにあるファイルへのアクセスはサポートしないため、設定ファイルの一部、カーネルイメージ、initrdイメージはESP上に配置する必要があります。

Linuxでは、ESPのマウントポイントは通常`/boot/efi`にあり、Linux起動後にアクセスできるようになります。

Windows

マイクロソフトは、ディスクにパーティションを作成する際、最初にESPを配置することを推奨しています。これはEFIの仕様で必須ではありません。Windows XP 64ビットエディション以降では、`mountvol /s`コマンドを実行することでESPにアクセスできます。

Intel Mac

Intel Macでは、ESPは未使用のままで、起動には使用されていません。ただし、ファームウェアアップデート時に一時的に使用されます。ESPが削除されてもシステムは起動できますが、ファームウェアアップデートは失敗する可能性があります。

関連項目

Windows To Go

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