EGRET

EGRET（イーグレット、Energetic Gamma Ray Experiment Telescope）は、コンプトンガンマ線観測衛星（CGRO）に搭載された4つのガンマ線検出器の一つです。この装置は、30MeVから30GeVという広範囲のガンマ線を検出する能力を持ち、ガンマ線帯域における全天の地図を作成することに貢献しました。

EGRETの主要な成果の一つとして、271箇所にも及ぶ高エネルギーガンマ線源のカタログ作成が挙げられます。このカタログは、ガンマ線天文学における重要な資料となっており、観測された天体のうち半分以上が他のエネルギー帯域では観測されていない未同定の天体であったことは特筆すべき点です。これらの未同定天体の存在は、宇宙における高エネルギー現象の理解を深める上で、新たな研究の扉を開くものとなりました。

また、同定されたガンマ線源のほとんどはブレーザーであり、その他にはパルサーや、ごく少数の他の種類の天体が含まれていました。ブレーザーは、活動銀河核から放出される相対論的なジェットが観測者の方向に向いている場合に観測される天体で、非常に高いエネルギーのガンマ線を放射することで知られています。パルサーは、高速で自転する中性子星で、強い磁場を持ち、電磁波を放出します。これらの天体の観測は、高エネルギー天体物理学の分野に重要なデータを提供しました。

さらに、EGRETは天の川銀河からの広帯域ガンマ線放射も検出しました。この放射は、銀河内に存在する星間ガスに宇宙線が衝突することによって発生したガンマ線であると考えられています。この観測は、宇宙線が銀河内でどのように生成・伝播するのか、また、星間ガスの分布とガンマ線放射の関係を解明する上で重要な手掛かりとなりました。

EGRETのデータは、高エネルギー宇宙の理解を大きく進歩させる上で重要な役割を果たしました。未同定天体の発見は、未知の物理現象や新たな天体クラスの可能性を示唆し、ガンマ線天文学の発展に大きな影響を与えています。

関連情報:

The EGRET home page at the Compton Observatory Science Center
[The Third EGRET Catalog](https://asd.gsfc.nasa.gov/archive/cgro/egret/cat3/

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