EIA-422

EIA-422は、「平衡デジタルインターフェース回路の電気的特性」を規定する技術標準であり、元々はRS-422として知られていましたが、現在はTIA-422として規格化されています。この規格は、データ伝送における平衡伝送、すなわち差動信号方式の採用を基本とし、単方向通信、伝送路の終端処理、そしてポイントツーポイント接続またはマルチドロップ接続などの構成を定めています。特に、マルチドロップ接続において、複数の受信機を一つの送信機に接続することは許可されていますが、複数の送信機がバスを共有するようなマルチポイント接続は、EIA-485とは異なり、EIA-422ではサポートされていません。

規格の正式名称は「TIA-422 Electrical Characteristics of Balanced Voltage Differential Interface Circuits」であり、最新のリビジョンは1994年5月に発行された「B」です。また、2005年にはTIA（Telecommunications Industry Association）によって再提出されています。EIA-422の主な利点としては、平衡型レシーバー、平衡型ドライバーの利用、そして12メートルで最大10Mbaudのデータ速度をサポートすることなどが挙げられます。ただし、この規格はデータレートの上限を直接定めるものではなく、主にケーブル長における信号の伝送損失率を規定しており、その例として10Mbit/sまでのデータレートにおける特性が示されています。

EIA-422は、平衡信号および非平衡信号での電気的特性のみを規定しており、プロトコルやピン配列については他の規格に委ねられています。例えば、物理的な接続に関しては、EIA-530（DB-25コネクタ）やEIA-449（DC-37コネクタ）といった別の規格によって定義されています。また、送受信ペアを実装するための4つのねじ穴を持つデバイスも存在します。

ケーブルの最大長は1200メートルに及びますが、データ速度は距離に応じて変化し、例えば1.2メートルでは10Mビット/秒、1.2キロメートルでは100kビット/秒となります。EIA-422は、1つのドライバーに対して最大10個のレシーバーを接続できますが、EIA-485のように複数のドライバーがネットワークを共有する真のマルチポイント通信は構築できません。

EIA-422は、RS-232Cの拡張としてもよく利用され、ビデオ編集スタジオでは、ビデオやオーディオのプレーヤー、レコーダーを中央制御台に接続する制御信号の伝送によく用いられています。AppleのMacintoshシリーズでは、mini-DIN8コネクタを使用したRS-422準拠のシリアルポートが「プリンターポート」または「モデムポート」として採用されていましたが、1998年のiMac以降はUSBに置き換えられ、1999年まで販売されたPower Macintosh G3（Beige）を最後にMacintoshシリーズでの採用は終了しました。

EIA-422はMIL-STD-188-114Bとの互換性がありますが、両者は同一の規格ではありません。EIA-422は0-5Vの信号を使用するのに対し、MIL-STD-188-114Bは0Vを中心とした対称的な信号を使用しますが、コモンモード電圧に対する許容範囲は両規格で互換性があります。

また、EIA-423は非平衡信号用の類似規格として存在します。

参考資料

National Semiconductor Application Note AN-1031 "TIA/EIA-422-B Overview", January 2000, National Semiconductor Inc.

関連項目

レガシーデバイス
RS-232
EIA-485 RS-485

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