EMD Eシリーズ:アメリカ電化ディーゼル機関車の金字塔
EMD Eシリーズは、
アメリカ合衆国のEMC社(後にGM-EMD)が
1937年から
1963年にかけて製造した、旅客列車用電気式
ディーゼル機関車のシリーズです。Eユニットとも呼ばれ、その洗練されたデザインと高い性能で、長きに渡りアメリカ鉄道の主力として活躍しました。
誕生と初期モデル
Eシリーズの原型は、
[1935年]]に製造された1800馬力の機関車です。
ボルチモア・アンド・オハイオ鉄道]や
[アッチソン・トピカ・アンド・サンタフェ鉄道]などに納入されたこれらの機関車は、Eシリーズと同様の出力と機器配置を有していましたが、箱型の車体とAARタイプB型台車を装備していた点が異なっていました。翌
[1937年には、
シカゴ・ロック・アイランド・アンド・パシフィック鉄道]向けに1200[[馬力のTAが製造されましたが、これは1基のエンジンを搭載したB-B型機関車であり、Eシリーズとは分類が異なります。
Eシリーズの特徴
Eシリーズの最大の特徴は、
キャブ・ユニットであること、2組の
ディーゼルエンジンと発電機を搭載していること、そしてA1A-A1A型の3軸台車を2組装備している点です。これは、高い牽引力と安定した走行性能を両立するための設計です。また、運転席付きのAユニットと運転席無しのBユニットを組み合わせ、
総括制御することで、様々な列車編成に対応可能でした。鉄道会社は、編成の都合や美観からABAまたはABBといった組み合わせでEユニットを購入することが一般的でした。
デザインの進化
Eシリーズの外観は、各形式で微妙な違いが見られます。初期のEA/EBは大きく傾斜した前頭部と窪んだヘッドライトが特徴でしたが、E2Aでは球状の傾斜に変更され、ヘッドライトがその上に突き出るデザインとなりました。E3A以降は再び傾斜した前頭部に戻りましたが、ヘッドライトは突き出たままとなり、E7AからE9Aにかけては、垂直に近い傾斜角度へと進化し、後のFシリーズのデザインへとつながります。側面の窓形状も、初期の半円形3連窓から、四角形、円形
[舷窓]]へと変化を遂げ、形式によって異なるデザインが採用されました。[[シカゴ・バーリントン・アンド・クインシー鉄道]向けに製造されたE5は、ステンレス車体を採用したことも特筆すべき点です。
エンジンの発展
Eシリーズは、外観デザインだけでなく、エンジン出力の向上も大きな特徴です。初期のEA/EBは2基の201-A型エンジンで1800
馬力を発揮していましたが、567型エンジンへと進化することで、最終的なE9では2400
馬力まで出力は向上しました。出力向上は、より重量のある列車の牽引や高速運転を可能にしました。201-A型エンジンは
潜水艦由来のもので、鉄道用としては信頼性に課題がありましたが、567型エンジンはEMD社が開発したものであり、信頼性と出力の両面で大幅な改善が見られました。
技術革新
Eシリーズは、技術的な進化も遂げています。E8では冷却ファンの装備、E9ではダイナミックブレーキのオプション設定などが行われました。製造メーカーも、E8からEMCからGM-EMDへと移行しています。また、台車にはマーティン・ブロンバーグ設計のA1A-A1A型台車が使用され、高い安定性と走行性能に貢献しました。
Eシリーズのラインナップと派生型
Eシリーズは、Aユニット(運転台付き)とBユニット(運転台なし)から構成され、様々な鉄道会社に納入されました。E1からE9までの各形式の製造数は、鉄道会社によって異なっていました。また、RIのAB6のように、特定の鉄道会社のニーズに応えるための派生型も存在しました。
現存状況
現在でも、いくつかの鉄道会社や博物館でEシリーズの機関車が保存・運用されています。これらの機関車は、アメリカ鉄道史における重要な遺産として、現在も大切に保存・活用されています。
参考文献
Marre, Louis A. (1995). Diesel Locomotives: The First 50 Years, pp.114-126. Kalmbach Publishing Co. ISBN 0-89024-258-5.
Pinkepank, Jerry A. (1973). The Second Diesel Spotter's Guide. Kalmbach Publishing Co., Milwaukee, WI. ISBN 0-89024-026-4
* Solomon, Brian (2000). The American Diesel Locomotive, pp.53-56, 63, 65, 67, 68, 70. MCI Publishing Company. ISBN 0-7603-0666-4.