ESSM

RIM-162 ESSM（発展型シースパロー）

RIM-162 ESSM（Evolved Sea Sparrow Missile）は、アメリカのレイセオン社によって開発された艦対空ミサイルで、従来のシースパローの後継として位置づけられています。日本語では「発展型シースパロー」として知られており、現代の艦船に求められる防空能力を強化するための設計がなされています。

概要

このミサイルは、シー・スパローRIM-7Pを基に改良されており、AMRAAM世代の高度な誘導装置が搭載されています。ミサイルの前部直径はシースパローと同じ8インチ（約20センチメートル）ですが、後部は10インチ（約25センチメートル）に大型化され、内部にはレーザー点火装置を使用したMk.134固体推進薬ロケット・モーターが組み込まれています。この設計により、発射時の低排煙推進薬が艦載センサーに与える影響を最小限に抑えつつ、加速用の推進薬にはアルミニウムが添加されているため、推力が向上しています。

また、ロケット・モーターの後部は飛行制御部分にあたり、外部には折りたたみ式の操舵翼が設置されています。このデザインは、シースパローに存在していた前翼がないため、全体の形状がスタンダードミサイルに近いものとなっています。ミサイルの最終段階での誘導は、艦艇に装備された火器管制レーダーからのレーダー波を受信して行うセミアクティブ・レーダー・ホーミング（SARH）方式ですが、ミサイルには中間段階で自律飛行を可能にするための慣性航法装置（INS）が内蔵されており、射撃指揮装置との無線リンクにより指令照準線非一致（COLOS）を使用することができます。そのため、最大3つの目標に同時に対処できる能力があります。

対処能力

通常、防空艦はイルミネーターの数によって同時対処能力が決定されます。例えば、たちかぜ型護衛艦の指揮装置が装備されている場合、応急発射を含めて最大3つの目標に対応可能です。また、こんごう型護衛艦の場合では、3基のイルミネーターによって4つ以上の目標を同時に対処でき、理論上は最低でも12の目標に対処可能となります。

近年のESSM防空艦では、イルミネーターに「ICWI（間欠連続波照射）」機能を搭載することで、同時に6つ以上の目標への対応が実現される見込みです。

日本における採用

日本では、ひゅうが型護衛艦からESSMが採用され、さらにあきづき型護衛艦以降の汎用護衛艦にも搭載されています。また、むらさめ型およびたかなみ型護衛艦も改修によってESSMに対応しています。なお、ターター艦およびイージス艦の艦対空ミサイルは、より長射程のスタンダードミサイルで統一されているため、日本のミサイル護衛艦（DDG）でのシースパローやESSMの採用計画は存在しません。

今後の展望として、2018年時点で改良型のBlock 2が開発されており、この新型はXバンドレーダに対応したアクティブ誘導機能を備えることが予定されています。これにより、終末誘導段階でもより高い精度を持つことが期待されています。

各型

• - RIM-162A: 双方向リンクをサポート、VLS Mk.41用
• - RIM-162B: アップリンクのみ、VLS Mk.41用
• - RIM-162C: アップリンクのみ、VLS Mk.48用
• - RIM-162D: アップリンクのみ、Mk.29用

採用国

ESSMは多くの国で採用されており、特に日本の海上自衛隊での運用が注目されています。

登場作品

このミサイルは、いくつかのフィクションにも登場しており、例えば小説『日本有事「鎮西2019」作戦発動!』では、あきづき型護衛艦「てるづき」に搭載され、中国軍の航空機に対して使用されています。また、『ルーントルーパーズ 自衛隊漂流戦記』では異世界のイージス護衛艦「いぶき」の搭載兵器として描かれています。

以上のように、RIM-162 ESSMは現代の艦載防空システムにおいて重要な役割を担うミサイルであり、複雑化する戦闘環境においても高い適応能力を持つとされています。

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