EYES LOVE YOU

hideのソロデビューを飾る『EYES LOVE YOU』

『EYES LOVE YOU』は、日本のアーティストhideが1993年にリリースした、記念すべきソロデビューシングルです。同時発売された『50%&50%』と対になる作品で、音楽性だけでなく、ジャケットデザインにもhideのこだわりが光ります。

隠された仕掛けと遊び心

本作のジャケットは緑色を基調としており、『50%&50%』と2枚並べて置くと、目のイラストが繋がるようにデザインされています。さらに、2つのジャケットを重ね合わせることで、目の錯覚により瓶の中にいるhideが浮かび上がるという、ユニークな仕掛けが施されています。

また、CDには隠しトラックとして、92トラック目に「EYES LOVE YOU (JUNK VERSION)」が収録されており、ファンにとっては嬉しいサプライズとなりました。

ソロデビューイベントと楽曲制作の背景

hideは、「きちんと楽曲が出来上がってから、ソロデビュー宣言をする」という強い意志を持っていました。当初は、ラフォーレ原宿でソロデビューを発表し、その後原宿の歩行者天国で『OBLAAT』を披露するというイベントが企画されていましたが、残念ながら雨天のため中止となってしまいました。

楽曲制作においては、hideが自宅で打ち込んできたリズムパターンをベースに進められました。しかし、アイデアが浮かんでも、打ち込み作業中に消えてしまうという状況に苛立ちを覚え、本作を最後にhideが打ち込みに着手することはなくなったと言われています。

楽曲の特徴

『EYES LOVE YOU』は、hideの音楽的才能が際立つ楽曲です。森雪之丞が作詞を担当し、hideは「妄想でしか愛しあえない人間の絶望」という世界観を表現しました。間奏部分には、スペインの著名な舞曲「エスパーニャ・カーニ」の曲調を取り入れたリズムギターのアコースティック演奏が挿入され、リードギターは両手タッピングで演奏されるなど、高度な演奏技術も聴きどころです。

作詞を依頼した森雪之丞は、hideがBOWWOWや布袋寅泰の歌詞のファンだったことがきっかけでした。森雪之丞の代表作である「CHA-LA HEAD-CHA-LA」が終局を迎える頃、hideのソロデビューシングルがリリースされたことは、音楽史における興味深い偶然と言えるでしょう。

その後の展開

『EYES LOVE YOU』は、様々なアーティストによってカバーされています。2006年にはSONIC STORAGE feat. KOHSHI from FLOWが、森雪之丞のトリビュート・アルバムでカバーし、2013年には、hideソロ活動20周年を記念した「hide TRIBUTE SPIRITS」シリーズで、複数のアーティストがカバーしました。中でも、『TRIBUTE VII』に収録された「EYES LOVE YOU～Ver.2013」では、森雪之丞が歌詞を書き直し、「絶望の先にある光」という新たなメッセージが込められています。

イントロ部分のビートルズ「Every Little Thing」を彷彿とさせるクラシカルなメロディをサイケデリックに進化させたフレーズは、hideのレーベルメイトであった少年ナイフの楽曲「Brown Mushrooms」に引き継がれています。

カップリング曲『OBLAAT』

カップリング曲の『OBLAAT』は、hideが「ダムドが1期のオリジナルメンバーのままで今でも活動していたら、きっとこういう曲を作る」というイメージで制作した楽曲です。この曲もまた、hideの音楽的なルーツを感じさせる作品と言えるでしょう。

ミュージックビデオ

『EYES LOVE YOU』のミュージックビデオは、1993年5月に松竹大船撮影所で撮影されました。流れるような廊下のシーンは、hideが当時熱中していたシューティングゲーム『スターフォックス』からインスピレーションを得ています。ビデオには、それぞれ異なるヘアスタイルをした12人のhideが登場し、その個性的な映像は1994年にMTV Video Music Awards国際視聴者賞日本部門を受賞しました。

2013年には、記念企画の特別編集フィルム『hide FILM ALIVE!!』で撮影の様子が公開され、ファンにとって貴重な映像となりました。

まとめ

『EYES LOVE YOU』は、hideのソロ活動の幕開けを飾る重要な作品であり、彼の音楽的な才能と、独特な世界観が凝縮された1枚です。隠された仕掛けや、楽曲に込められたメッセージなど、様々な角度から楽しめるこの作品は、hideファンならずとも必聴と言えるでしょう。

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