Ecosia

Ecosia（エコジア）とは

Ecosiaは、ドイツ・ベルリンに拠点を置く企業が運営する検索エンジンです。その最大の特徴は、広告収入の80%以上を植林活動や森林再生プロジェクトに寄付している点です。Ecosiaは、自身を「ソーシャルビジネス」であり「カーボンネガティブ」であると位置づけています。また、運営の透明性を重視しており、定期的に財務レポートを公開しています。さらに、ユーザーのプライバシー保護にも力を入れており、検索履歴に基づくユーザープロファイルの作成や、外部トラッキングツールの利用を行っていません。アメリカのB Labから認証を受けたベネフィットコーポレーションでもあります。

検索エンジンの仕組み

Ecosiaは、当初、Yahoo!検索の検索結果と、Bing、Wikipediaの技術を組み合わせて検索結果を表示していました。広告は、EcosiaとYahoo!の利益共有の合意に基づき、Yahoo!によって提供されていました。現在では、Bingの検索結果をベースに、独自のアルゴリズムで強化した検索結果を提供しています。Ecosiaは、スマートフォン（Android、iOS）やPC（Windows、Mac）で利用できるブラウザ版、モバイルアプリ版を提供しています。また、Ecosiaの検索バーに「#g」と検索語句を入力することで、Googleの検索結果を表示させることも可能です。

プライバシーへの配慮

Ecosiaは、ユーザーのプライバシー保護を重視しており、検索は暗号化され、一時的にのみ保存されます。また、ユーザーのデータが第三者の広告会社に販売されることはありません。プライバシーポリシーでは、検索履歴に基づくユーザープロフィールの作成や、外部トラッキングツールの使用を行わないことを明記しています。

ビジネスモデル

Ecosiaのビジネスモデルは、検索結果に表示される広告を通じて得られる収益を、植林活動の資金に充てるというものです。ユーザーがスポンサードリンクをクリックすると、広告主からEcosiaに料金が支払われる仕組みです。EcosiaのFAQによると、1回の検索で平均0.005ユーロの利益が発生し、1本の木を植えるには約45回の検索が必要です。広告収入の80%（収益の47.1%）が植林活動に使われ、残りは予期せぬ事態に備えた内部留保となります。留保資金が使われなかった場合は、植林活動支援に充てられます。

Ecosiaの歴史

Ecosiaは、2009年12月7日に設立されました。設立当初から、さまざまな植林プログラムを支援しており、2010年にはWWFドイツのアマゾン盆地の保護プログラム、2013年にはアメリカのThe Nature Conservancyの植林プログラムに寄付を行っています。2015年には、アフリカ連合と世界銀行が支援するグレートグリーンウォールプロジェクトの一環として、ブルキナファソの森林再生を支援しました。B-labによれば、2015年1月時点で、Ecosiaは熱帯雨林保護のために150万ドル以上を集めたとされています。2015年までに、アクティブユーザーは約250万人、植林本数は200万本を超えました。

Ecosiaの影響

Ecosiaは、エデン森林再生プロジェクトやHommes et Terreなど、多くの団体と協力し、16ヶ国で植林活動を行っています。具体的には、ペルー、ニカラグア、コロンビア、ハイチ、ブラジル、モロッコ、スペイン、セネガル、ブルキナファソ、ガーナ、マダガスカル、ウガンダ、タンザニア、エチオピア、ケニア、インドネシアといった国々で植林プロジェクトを支援しています。2018年には、ドイツのハンバッハの森をエネルギー会社から買い取り、森林伐採を防ぐという活動も行っています。

ブラウザへの統合

Ecosiaは、Google ChromeとMozilla Firefoxの拡張機能として利用でき、デフォルトの検索エンジンとして設定できます。また、Braveブラウザ、Pale Moonブラウザ、Polarityブラウザ、Waterfox、Vivaldiなど、一部のブラウザではデフォルトの検索エンジンとして選択できます。一方、Androidの「検索エンジン選択」オークションには参加しないことを表明しており、2020年の欧州Android携帯ではデフォルト検索エンジンの選択肢にEcosiaがない状況です。しかし、2020年12月には、iOS 14.3のアップデートにより、Safariの検索エンジンとして追加され、5つ目の選択肢となりました。

Ecosiaは、検索エンジンとしての機能だけでなく、環境保護への貢献を両立させている点で、世界的に注目を集めています。検索を通じて社会貢献をしたいと考えるユーザーにとって、Ecosiaは有益な選択肢となるでしょう。

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