Electric (ソフトウェア)

Electric VLSI設計システム（Electric）は、1980年代初頭にスティーブン・M・ルービンによって開発された電子設計自動化（EDA）ツールです。このシステムは、回路図の作成や集積回路（IC）のレイアウト設計に利用され、VHDLやVerilogといったハードウェア記述言語の操作も可能です。Electricは、設計規則チェック（DRC）、シミュレーション、配線、レイアウト対回路図比較（LVS）、論理的努力（Logical Effort）などの様々な合成・解析ツールを統合しており、包括的な設計環境を提供します。

Electricは、その開発の初期段階ではC言語で記述されていました。1980年代初頭の内部メモによると、1982年11月19日には既に初期バージョンが存在していたことがわかります。その後、大学や研究機関向けに無償で提供されるようになり、国際的に広く利用されるようになりました。

1980年代中頃には、ElectricはApplicon社によって「Bravo3VLSI」という名称で商業製品として販売されました。さらに1988年には、Electric Editor Incorporatedが設立され、システムが商業ベースで販売されるようになりました。1998年には、フリーソフトウェア財団（FSF）を通じてソースコードが公開され、オープンソースソフトウェアとしての道が開かれました。

2000年には、Electricの配布を目的とするStatic Free Softwareが設立されました。重要な転換期となったのは2003年9月で、この時、従来のC言語バージョンが廃止され、システムはJava言語に移植されることになりました。この移植作業は2005年6月に完了し、全てのユーザーが無料で利用できる新しいJavaベースのElectricが提供されるようになりました。なお、C言語版のコードは現在でも利用可能ですが、開発やサポートは終了しています。

現在、ElectricはGNUプロジェクトの一部として、GNU General Public License（GPL）バージョン3以降のライセンス条件の下で配布されています。フリー・オープンソースソフトウェア（FLOSS）として、世界中の設計者や研究者に利用されており、ハードウェア設計の分野で重要な役割を果たしています。

外部リンク:

Electric公式サイト（英語）
フリーソフトウェア財団のElectric配布ページ（英語）
CMOSedu.comのElectricに関する説明やチュートリアル（英語）
The Electric Wiki（英語）

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