フリーソフトウェア財団

フリーソフトウェア財団 (FSF) について

フリーソフトウェア財団（Free Software Foundation, FSF）は、1985年にリチャード・ストールマンによって設立された非営利団体です。FSFは、コンピュータソフトウェアをユーザーが自由に利用、共有、改変できる「自由ソフトウェア」の概念を推進する社会運動の中核を担っています。この運動は、ソフトウェアの自由を尊重し、それを通じてより公正で開かれた社会を実現することを目標としています。

設立と活動

FSFは、マサチューセッツ工科大学（MIT）のコンピュータールームでのストールマンの活動を起源としています。当初は、GNUプロジェクトのための自由ソフトウェア開発者の雇用に資金を投じていましたが、1990年代中頃からは、自由ソフトウェア運動に関する法的・構造的な問題への対応に重点を置いています。

FSFの活動は多岐にわたります。自由ソフトウェアの定義を明確化し、その普及を促進するための啓蒙活動を行っています。また、デジタル[[著作権管理]]（DRM）に対抗する「Defective by Design」運動や、プロプライエタリソフトウェアへの移行に反対する「BadVista」運動など、具体的な問題提起も行っています。

FSFの組織

FSFの運営は、理事会によって行われます。現在の理事には、ジェフリー・クノース（代表兼財務担当）、ジェラルド・ジェイ・サスマン（MIT教授）、ヘンリー・プール（CivicActions創設者）、イアン・ケリング（FSF上級システム管理者）、オディール・ベナッシ（GNU Eduプロジェクトリーダー）、そして創設者のリチャード・ストールマンなどが名を連ねています。

過去には、ハル・アベルソン（MIT教授）、ベンジャミン・マコ・ヒル（MITメディアラボ研究生）、ブラッドリー・クーン（Software Freedom Conservancy執行役員）など、著名な人物が理事を務めていました。

FSFの執行役員は、ウィリアム・ジョン・サリバンが2021年まで務め、その前には、ブラッドリー・M・クーン、ピーター・T・ブラウンが務めていました。

主な活動内容

自由ソフトウェア運動

自由ソフトウェアの概念を社会に広めるための運動です。FSFは、「自由ソフトウェアの定義」を明確にし、その普及を促進する様々な活動を行っています。

Defective by Design (DbD): DRM（デジタル[[著作権管理]]）を「デジタル制約管理」と捉え、その問題点を指摘する運動です。
BadVista: Windows Vistaへの移行に反対し、自由ソフトウェアへの移行を促す運動です。

GNUプロジェクト

GNUオペレーティングシステムをはじめとする、自由ソフトウェアの開発プロジェクトを支援しています。GNUツールチェーン、GNU Hurd、glibcなどがその代表的な成果です。GNUライセンス（GPLなど）は、自由ソフトウェアの利用と共有を促進するための重要な基盤となっています。

GNUライセンス違反是正

GNUライセンスの遵守を徹底するため、違反行為の是正活動を行っています。FSFは、ライセンス違反者との対話や法的措置を通じて、自由ソフトウェアの権利を保護しています。

Free Software Directory

自由ソフトウェアとして検証されたソフトウェアパッケージのリストです。ソフトウェアの検索と相互参照を可能にし、自由ソフトウェアの利用促進に貢献しています。

最優先度プロジェクト

自由ソフトウェアコミュニティにとって特に重要なプロジェクトをリストアップし、その開発を支援しています。これらのプロジェクトは、ユーザーがプロプライエタリソフトウェアに頼らずに済むように、自由な代替手段を提供することを目的としています。

表彰

FSFは、自由ソフトウェアの発展に貢献した個人やプロジェクトを表彰しています。「Award for the Advancement of Free Software」や「Free Software Award for Projects of Social Benefit」などが代表的な賞です。

批評と論争

FSFの活動は、常に称賛されてきたわけではありません。GPLのライセンス違反是正活動や、プロプライエタリソフトウェアに対する批判的な姿勢は、時に批判を招いています。

リーナス・トーバルズの批判: Linuxカーネルの創始者であるリーナス・トーバルズは、FSFのGPL違反是正活動や反DRM的な姿勢を批判しています。
誤情報の指摘: 一部のメディアは、FSFがプロプライエタリフォーマットに対する批判において事実誤認や誤情報を広めていると指摘しています。
運動に対する批判: FSFの運動は「ネガティブ」で「幼稚」であるという批判も存在します。

関連団体

FSFは、世界各地の関連団体と協力して活動を行っています。

Free Software Foundation Europe
Free Software Foundation of India
Free Software Foundation Latin America

まとめ

フリーソフトウェア財団は、自由ソフトウェア運動の中核をなす組織であり、その活動はソフトウェアの自由とユーザーの権利を守るために不可欠です。様々な批判に晒されながらも、FSFは自由なソフトウェア開発と普及に貢献し続けています。彼らの活動は、より公正で開かれたデジタル社会を実現するための重要な一歩と言えるでしょう。

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