Electronic Data Systems

エレクトロニックデータシステムズ（EDS）とは

エレクトロニックデータシステムズ（EDS）は、1962年に設立されたアメリカのITサービス企業であり、2008年にヒューレット・パッカード（HP）に買収されるまで、独自の企業活動を行っていました。EDSは、ITアウトソーシングサービスのパイオニアとして知られる企業で、テキサス州プレーノに本社を置き、グローバルに展開していました。

企業の成立と成長

EDSは、アメリカ企業のロス・ペローにより設立され、すぐにITアウトソーシングサービスの分野で確固たる地位を築きました。彼らのビジネスモデルは、情報処理システムの構築と運用にフォーカスしており、コンピュータ機器の製造には手を出していませんでした。この戦略は、日本のNTTデータのモデルと類似しています。

1984年、ゼネラルモーターズ（GM）に買収されましたが、1996年には再び独立した企業としてスピンオフされ、以降も成長を続けます。2006年には58カ国に展開し、従業員数は117,000人に達しました。この際の売上高は198億USドルに上り、翌年の2007年には65カ国、従業員数137,124人、売上高221億USドルを記録し、フォーチュン・グローバル500に掲載されるなど、業界内での地位を確立しました。

HPによる買収

2008年5月、ヒューレット・パッカードはEDSを139億USドルで買収すると発表し、同年8月にはこの買収が完了しました。その結果、EDSは「EDS - An HP Company」と名称変更され、HPの事業部門となりました。この買収は、ITサービス業界において最大の取引とされ、以前のHPによるコンパック・コンピュータの買収に次ぐ規模でした。合併後、両社の売上高は380億USドルを超え、IBMに次ぐ二位のシェアを持つ存在となりました。

ブランドの消滅

しかし、2009年9月23日、HPは「EDS」ブランドを廃止し、「HPエンタープライズサービス」に名称を変更することを発表。これにより、EDSというブランド名は市場から消えることとなります。

近年の企業買収動向

EDSによる他企業の買収も注目に値します。2008年4月にはイギリスの情報セキュリティ企業Vistormホールディングスを買収しました。この取引により、EDSはヨーロッパでの情報保証およびマネージドセキュリティサービスの重要なプレーヤーとなりました。

さらに、2007年11月には、アメリカのソフトウェア供給企業Saberの93％の株式を4億2000万ドルで買収しました。Saberは、アメリカ州政府へのサービスで知られる急成長企業です。また同年にEDSは、インドのソフトウェアテスト企業RelQを買収し、グローバルなテスト能力を強化しました。

最後に、2006年にはインドのアプリケーションおよびBPOサービス企業MphasiSの過半数株式を取得。これによりインドでも影響力を強めることができました。これらの買収を通じて、EDSは国際的なビジネス展開をさらに強化し続けました。

このように、EDSはその独自のビジネスモデルで業界内での地位を確立し、その後HPに吸収されることで、ITサービス市場における新たな展開を促進しました。

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