Elmo囲い

エルモ囲い：現代将棋における新たな玉型

エルモ囲いは、コンピュータ将棋ソフト『elmo』が用いた囲い方を起源とする、対振り飛車における居飛車側の玉囲いです。elmoが2017年の世界コンピュータ将棋選手権で優勝したことで広く知られるようになり、その堅牢性と攻撃力のバランスから、多くの棋士や愛好家の注目を集めています。

エルモ囲いの特徴

エルモ囲いの基本的な陣形は、7八玉、6八銀、7九金で玉を囲い、さらに5九金に金を配置することで、金銀3枚が連結した堅固な玉囲いを形成します。従来の居飛車穴熊では、4九の金を5八に繰り出すことが多かったですが、エルモ囲いは5九に金を配置することで、8八の地点も守備範囲に含め、より広い守備範囲と柔軟な攻め筋を実現しています。

この5九金の配置は、従来の囲い方とは大きく異なる点です。従来の囲い方では、△9九角成や8七の地点を狙われると玉が危険にさらされる可能性がありましたが、エルモ囲いはそれらの攻撃に対して十分な対応力を持ちます。6九からの脱出ルートも確保されているため、玉の逃走経路も確保されており、見た目以上に堅牢な囲いと言えます。4九の金は状況に応じて、そのまま残すか、5九金や5八金に移動させることで、さらに陣形を強化します。

エルモ囲い急戦

エルモ囲いは、特に振り飛車急戦に対して有効です。特に角道を止めた三間飛車や四間飛車に対しては、その堅牢性が活きてきます。エルモ囲いでは、相手の攻めに対応しながら、4六銀戦法や棒銀戦法のような積極的な攻めを展開することも可能です。

例えば、三間飛車に対しては、3筋を攻める展開も有効です。従来の急戦では玉が危険にさらされる可能性がありましたが、エルモ囲いでは玉が堅いため、積極的に攻めることができます。また、4六歩から角交換を狙う展開も可能です。

エルモ囲い急戦は、相手の出方によって様々な仕掛けが可能です。まだ発展途上の戦法であるため、今後さらに多くの研究がなされ、新たな定跡が生まれることが期待されます。

エルモ囲いと過去の囲い方との比較

昭和の時代にも、右の金を攻めに繰り出す4六金戦法や棒金戦法において、7九金の配置は用いられていました。しかし、これらの戦法は金2枚で囲えない状況下でのコンパクトな囲いを求めたものであり、現代のエルモ囲い急戦とは戦略や目的が異なります。エルモ囲いは、現代将棋の戦術を取り入れ、より堅牢で柔軟な囲いを実現しています。

まとめ

エルモ囲いは、コンピュータ将棋ソフトの発展によって生まれた、現代将棋における新たな玉囲いのスタイルです。その堅牢性と柔軟な攻め筋は、多くの棋士や愛好家に注目されており、今後も発展を続ける戦法として、将棋界に大きな影響を与えることが期待されます。エルモ囲いに関する研究は現在も進んでおり、今後さらに多くの戦術や定跡が開発される可能性があります。将棋ファンにとって、エルモ囲いは、現代将棋の進化を象徴する存在と言えるでしょう。

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