Enchant (ソフトウェア)

Enchantは、様々な既存のスペルチェッカソフトウェアへのアクセスを統一することを目的とした自由ソフトウェアプロジェクトです。AbiWordワードプロセッサの一部として開発されました。

このプロジェクトの主な目的は、多様なスペルチェック機能を提供する既存の製品やライブラリの機能を抽象化し、それらにアクセスするための安定したAPI（Application Programming Interface）とABI（Application Binary Interface）を提供することです。Enchantは、各バックエンドライブラリが特定の機能を実装していない場合でも、その機能をエミュレートすることで、アプリケーションが常に一貫したスペルチェック機能を利用できるようにします。

Enchantは、複数のバックエンドを同時に読み込むことができる柔軟性を持っています。2006年1月の時点では、以下の6つのバックエンドをサポートしていました。

Aspell / Pspell: Ispellの代替を目指して開発されたスペルチェッカです。
Ispell: 古くから存在しますが、事実上の標準として広く認識されているスペルチェッカです。
Hunspell / MySpell: OpenOffice.orgプロジェクトをはじめ、Mozilla Firefox、Mozilla Thunderbird、SeaMonkeyなど、多くのアプリケーションで採用されているスペルチェッカです。
Uspell: 主にイディッシュ語、ヘブライ語、および東ヨーロッパの言語を対象としたスペルチェッカで、AbiWordのCVSリポジトリ内でuspellモジュールとしてホストされています。
Hspell: ヘブライ語に特化したスペルチェッカです。
AppleSpell: macOSに組み込まれているスペルチェッカです。

Enchantは、LGPL（GNU Lesser General Public License）に基づいてライセンスされており、すべてのプラグインバックエンドを読み込んで使用することが許可されています。これにより、macOSやMicrosoft Officeなど、さまざまなプラットフォームでネイティブのスペルチェッカを利用できるようになり、ユーザーは自身の好みに合わせてサードパーティー製のスペルチェッカを使用することが可能です。このライセンス条項は、Enchantの柔軟性と拡張性を高め、幅広い環境でのスペルチェックの利用を促進します。

Enchantは、オープンソースコミュニティによって開発が進められており、その柔軟性と拡張性により、多くのアプリケーションで採用されています。これにより、ユーザーは多様なスペルチェック機能を統一的に利用することができ、開発者は異なるスペルチェッカの実装を意識することなく、アプリケーションにスペルチェック機能を追加することができます。

外部リンク

公式サイト
PyEnchant - Pythonバインディング

もう一度検索