Enhanced Small Disk Interface

Enhanced Small Disk Interface（ESDI、イーエスディーアイ）は、初期のハードディスクインタフェースであるST-506をベースに、データ転送速度を大幅に向上させた規格です。ST-506では5MHzであった制御信号、データ信号のクロック周波数が、ESDIでは10MHz、15MHz、または20MHzへと引き上げられました。

このクロック周波数の高速化により、データ転送帯域も大幅に拡大しました。ST-506では610Kbytes/secであった転送速度が、ESDIでは最大2.44Mbytes/secへと、約4倍の速度向上を達成しています。これにより、より高速なデータアクセスが可能となり、コンピュータのパフォーマンス向上に貢献しました。

ESDIのもう一つの特徴として、接続可能なデバイス数の増加が挙げられます。ST-506では最大2台であった接続可能数が、ESDIでは最大7台まで拡張されました。これにより、複数のハードディスクや他のストレージデバイスを一台のコントローラで管理することが可能となりました。ただし、低価格帯のコントローラでは、ST-506と同様に2台までの接続しかサポートされていない場合もありました。

ESDIは主にPC/AT互換機で広く採用されました。PC/ATは、当時普及していたパーソナルコンピュータの代表的なアーキテクチャであり、ESDIはその高速性から、高性能なストレージソリューションとして必要とされました。また、NECのPC-9800シリーズのPC-H98のmodel60、model70、model100といった機種にも採用されており、特定の機種でのみ採用された規格というわけではありません。しかし、その後のインタフェース規格の進化により、SCSIやIDEなどの新しい規格が主流となり、ESDIは次第に姿を消していきました。

ESDIは、初期のハードディスクインタフェースの進化において、重要な役割を果たした規格の一つです。データ転送速度の向上と接続可能デバイス数の増加により、コンピュータシステムの性能向上に大きく貢献しました。現在では、より新しい規格に置き換えられていますが、初期のパーソナルコンピュータの歴史を語る上で欠かせない技術です。

関連規格としては、以下のようなものがあります。

SCSI (Small Computer System Interface): ESDIと同様に、ハードディスクなどのストレージデバイスを接続するためのインタフェース規格です。ESDIよりも高い性能を持ち、より多くのデバイスを接続できることから、サーバーなどのハイエンドシステムで広く採用されました。
ST-506: ESDIのベースとなった初期のハードディスクインタフェース規格です。ESDIが登場するまでは、最も一般的な規格でした。
IDE (Integrated Drive Electronics): ESDIの後継となる規格で、ハードディスクコントローラをハードディスク自体に内蔵した点が特徴です。より低コストで簡単に実装できるため、個人向けのパソコンで広く普及しました。
ATAPI (AT Attachment Packet Interface): IDEの拡張規格で、CD-ROMドライブなどの光学ドライブを接続するために使用されました。IDEと同じ物理インタフェースを使用しますが、異なるプロトコルを使用します。
* SASI (Shugart Associates System Interface): SCSIの原型となった規格であり、ESDIが登場する以前の初期のインタフェース規格です。SCSIと同様に、複数のデバイスを接続することができました。

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