Small Computer System Interface

SCSI (スカジー)の概要：コンピュータと周辺機器を繋ぐ歴史あるインタフェース規格

SCSI (Small Computer System Interface、スモールコンピュータシステムインタフェース)は、コンピュータと周辺機器間のデータ転送を担うインタフェース規格です。周辺機器とコンピュータを対等に接続することを基本とし、複数の機器を接続できるバス型インタフェースとして設計されています。かつてはパソコンやワークステーションで広く利用されていましたが、近年はUSBやSATAなどにその座を譲りつつあります。しかしながら、SCSIのコマンドプロトコルは、現代の高速規格であるATA、SATA、USB、IEEE 1394、ファイバチャネルなどにも引き継がれており、その影響は現在も残っています。

SCSIの動作原理

SCSIバスは、データ転送において主従関係を設けず、機器同士が対等に通信を行う点が特徴です。データ転送の開始を要求する機器をイニシエータ、実際のデータ転送を行う機器をターゲットと呼びます。イニシエータは、複数のターゲット機器に同時に指示を出すことができます。一般的には、コンピュータがイニシエータ、周辺機器（HDD、CD-ROMなど）がターゲットとして動作しますが、複数のコンピュータが1つのSCSIデバイスを共有する構成も可能です。

SCSIバス上の機器は、デイジーチェーン接続と呼ばれる方式で接続されます。これは、機器を数珠つなぎに接続していく方式で、バスの両端には信号の反射を防ぐためのターミネータを接続する必要があります。各機器にはSCSI ID (0～7、または0～15)が割り当てられ、このIDによって機器を識別します。また、各機器は最大8つのロジカルユニット(LUN)を持つことができ、LUN番号によってさらに機器内のデバイスを識別します。

SCSIの規格と種類

SCSI規格は、速度や機能の向上に伴い何度も改訂されてきました。初期のSCSI-1から、高速なUltra SCSI、そしてシリアル接続のSAS (Serial Attached SCSI)へと進化しています。パラレルSCSIでは、バス幅として[8ビット]と[16ビット]があり、それぞれ異なるケーブルとコネクタを使用します。Ultra SCSIではシリアル接続もサポートされるようになりました。

さらに、SCSIデバイスは、その機能によってディスク装置、テープ装置などに分類されます。それぞれのカテゴリごとに、利用可能なコマンドが定義されています。例えば、ランダムアクセス可能なディスクと、シーケンシャルアクセスしかできないテープでは、利用できるコマンドが異なります。

SCSIには、SE(シングルエンド)、HVD(ハイボルテージディファレンシャル)、LVD(低電圧差動型)の3種類の電圧規格が存在します。SEとLVDはピン互換性がありますが、HVDは互換性がないため、接続ミスによる機器故障に注意が必要です。

SCSIのコネクタとターミネータ

SCSIのコネクタは、パラレルSCSIでは50ピンまたは68ピンのD-Subコネクタが使用されます。内部接続コネクタと外部接続コネクタは、規格によって異なる場合があります。また、ターミネータは、パッシブ型とアクティブ型があり、SCSI-2以降はアクティブターミネータの使用が推奨されています。

SCSIのホットスワップと制限

SCSIは、ホットスワップに対応していません。そのため、コンピュータの電源を入れた後に機器を接続しても、通常は認識されず、再起動が必要になります。これは、USBやIEEE 1394などのホットスワップ対応規格に取って代わられた要因の一つです。

SCSIの現在と将来

かつてはHDDやCD-ROMなどの接続に広く利用されていたSCSIですが、近年はUSB、SATA、NVMeなどの高速でホットスワップ対応の規格にその座を譲っています。しかし、サーバ用途などでは、高い信頼性と安定性から、現在でもSCSI接続のハードディスクが使用されることがあります。また、iSCSI (インターネットSCSI)のように、SCSIプロトコルをネットワーク経由で利用する技術も発展しています。SCSI規格そのものは、その歴史と技術的基盤から、現代のストレージ技術に少なからず影響を与え続けているのです。

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