Every little thing every precious thing

LINDBERG「every little thing every precious thing」：名曲誕生秘話から野球ファンとの深い繋がりまで

1996年7月1日、LINDBERG通算25枚目のシングル「every little thing every precious thing」がリリースされました。この曲は、後に阪神タイガースのクローザーとして活躍した藤川球児選手が登場曲として使用したことで、多くの野球ファンに愛される名曲となりました。その誕生秘話から、藤川選手との深い繋がり、そして再注目された経緯まで、この楽曲の歴史を紐解いていきましょう。

感動の出会いと楽曲誕生

この楽曲の誕生には、意外なきっかけがありました。1991年世界陸上選手権男子400m決勝で、日本人として初めて決勝に進出した高野進選手（当時）。そのレース後、7位という結果に終わった高野選手を励ます妻の言葉「私が彼に金メダルをあげたい」を、LINDBERGのボーカル、渡瀬マキさんが映像で目にしたことが、この楽曲制作の原点となっています。妻の深い愛情に心を打たれた渡瀬さんは、その感動を楽曲に託し、「every little thing every precious thing」が誕生しました。

藤川球児選手との出会い：登場曲としての採用

2000年代中盤以降、この曲は野球ファンにとって特別な存在となりました。それは、阪神タイガースの抑え投手として活躍した藤川球児選手が登場曲としてこの曲を選んだことがきっかけです。藤川選手は、高校時代から交際していた妻が愛聴していたこの曲を、自身の登場曲に採用。交際中からの思い出と重なり、観客やファンへの自己表現方法としてこの曲を選んだと語っています。

再注目と大合唱：球場を沸かせた名曲

2004年シーズン途中から、藤川選手は「勝利の方程式」の一角として活躍を始めます。「火の玉ストレート」と称される豪速球を武器に、救援投手として活躍する藤川選手の登板時には、阪神ファンがメガホンを振りながら「every little thing every precious thing」を大合唱する光景が、阪神甲子園球場を彩るようになりました。この高い人気を受け、2007年には再発盤シングルが発売され、オリコンチャートで38位を記録するヒットとなりました。ジャケットには、藤川選手が阪神のユニフォーム姿で登板している写真が使用されました。

渡瀬マキさんと藤川球児選手の感動的な出会い

2007年、渡瀬さんはテレビ番組の企画で、藤川選手と初めて対面します。そこで、藤川選手から、ブルペンを出る際にこの曲が流れるルーティンや、特定の歌詞で気力を高めることなどを聞きました。同年8月には甲子園球場に観戦に訪れ、数万人のファンが合唱する自身の楽曲を目の当たりにし、感涙したというエピソードも残っています。

引退セレモニーでの感動的なシーン

藤川選手が2020年に現役を引退した際にも、この曲は特別な存在感を放ちました。引退記者会見ではBGMとして使用され、引退セレモニーでは場内で繰り返し放送されました。渡瀬さんは、藤川選手の中学時代の作文「僕の野球への思い」を朗読し、花束贈呈を行いました。さらに、藤川選手への敬意を込めたサプライズ企画として、チームメイトが試合の登場曲にこの曲をセレクトするなど、数々の感動的な場面を演出しました。

YouTubeでの再生回数急増

テイチクエンタテイメントのYouTube公式チャンネルで公開されているミュージックビデオは、藤川選手の引退発表直後から再生回数が急増。その感動的なストーリーと、多くの野球ファンとの強い結びつきが、この楽曲の長く続く人気を証明しています。

楽曲情報

作詞：渡瀬マキ
作曲：川添智久
* 編曲：LINDBERG・神長弘一・井上龍仁・佐藤準（ストリングスアレンジ）

この曲は、日本テレビ系『第16回全国高等学校クイズ選手権』のエンディングテーマ曲、パナソニック「ハイビジョンヨコヅナ」のCM曲としても使用されました。また、数多くのLINDBERGのアルバムにも収録されており、その人気は時代を超えて続いています。

まとめ

「every little thing every precious thing」は、単なる楽曲を超えた存在感を持つ名曲です。その誕生秘話、藤川球児選手との深い繋がり、そして多くのファンとの共感を呼び起こす力。これらが一体となり、この曲を特別な存在にしていると言えるでしょう。

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