Exterior Gateway Protocol

Exterior Gateway Protocol (EGP) について

Exterior Gateway Protocol（EGP）は、IPネットワークにおけるルーティングプロトコルの一つで、特に自律システム（AS）間のルーティングを担う役割を持っていました。ASとは、単一の管理下にあるネットワークの集合体のことで、インターネットのような大規模なネットワークを管理するための概念です。

EGPの概要

EGPは、AS間の経路情報を交換し、パケットの配送先を決定するために使用される通信プロトコルです。EGPとBorder Gateway Protocol（BGP）を合わせてEGPsと表記することもあります。1984年にRFCとして提案され、1980年代後半にはAS間の経路制御に広く利用されていました。EGPは、ディスタンスベクタ型のルーティングアルゴリズムを採用しており、最短経路でのデータ転送を目指しました。

しかし、EGPにはいくつかの制約がありました。経路収束に時間がかかり、ネットワーク構成の変更に迅速に対応できないという問題がありました。さらに、AS管理者の意図に基づいてトラフィックの経路を制御するポリシーベースルーティングが不可能であったため、柔軟なトラフィック制御ができませんでした。これらの問題から、EGPは後継のプロトコルであるBGPに急速に置き換えられ、1990年代に入る頃には、ほとんど使用されなくなりました。

総称としてのEGP

Interior Gateway Protocols（IGPs）は、OSPF、IS-IS、EIGRPなどのプロトコルがあり、これらはAS内部でのルーティングを扱います。IGPは、「あるネットワークに到達するために、どのルータを経由してパケットを配送するか」というルータ単位での経路制御を行います。しかし、インターネットのような大規模なネットワーク全体をルータ単位で制御しようとすると、ルーティングテーブルの計算量やデータベースが膨大になり、現実的ではありません。

そこで、インターネットを複数のASに分割し、各ASを一つの単位として管理するという考え方が生まれました。IGPはAS内部のルーティングを担当し、一方EGPはAS間のルーティングを担います。つまり、EGPは「あるネットワークに到達するために、どのASにパケットを転送するか」という視点でのルート制御を行います。EGPは、AS間の接続情報と、宛先ネットワークまでの経路情報を交換することで、パケットの転送先となるASを決定します。1980年代中頃までは、AS間のルーティングにはEGPが利用されていましたが、現在ではBGPが主流となっています。

単体のルーティングプロトコルとしてのEGP

EGPは、単独のルーティングプロトコルとしても存在します。しかし、上記のような制約から、BGPに取って代わられ、現在ではほとんど利用されていません。EGPは、AS間のルーティングを初期に担った重要なプロトコルであり、現在のインターネットのルーティング技術の基礎となる考え方を提供しました。

EGPの関連規約

RFC 904 - Exterior Gateway Protocol Formal Specification

参考文献

久米原栄『要点解説IPルーティング入門』（初版第1刷）ソフトバンククリエイティブ、2007年3月1日。ISBN 978-4-7973-3743-3。

関連項目

Border Gateway Protocol (BGP)
Interior Gateway Protocol (IGP)

もう一度検索