External Data Representation

External Data Representation (XDR)とは

External Data Representation（XDR）は、異なるコンピュータシステム間でデータを交換するためのシリアライズ形式の一つです。主にONC RPC（Open Network Computing Remote Procedure Call）のプレゼンテーション層として利用されます。

歴史

XDRは、サン・マイクロシステムズによって1987年にRFC1014として最初に規格化されました。その後、1995年にRFC1832として改訂され、最新の規格は2006年のRFC4506です。RFC4506は、技術的な変更はRFC1832からありません。XDRは、ONC RPCとともに規格化され、分散コンピューティング環境でのデータ交換の標準として重要な役割を果たしてきました。

特徴

XDRの最大の特徴は、データ表現形式を統一することにあります。これにより、異なるアーキテクチャのシステム間でもデータを正しく解釈できます。DCE/NDR（Distributed Computing Environment Network Data Representation）やMS RPC/NDRと比較すると、XDRは常に統一された表現形式に正規化される点が異なります。

• - 整数の正規化: 32ビットおよび64ビットの整数は、ネットワークバイトオーダー（ビッグエンディアン）に正規化されます。DCE/NDRではビッグエンディアンとリトルエンディアンの両方をサポートしていますが、XDRでは常にビッグエンディアンに統一されます。
• - 浮動小数点数の正規化: 32ビット、64ビット、128ビットの浮動小数点数は、IEEE形式に正規化されます。DCE/NDRではIEEE形式に加えてVAX、Cray、IBM形式もサポートしていますが、XDRではIEEE形式に統一されます。
• - 文字列の正規化: 文字列はASCII形式に正規化されます。DCE/NDRではASCIIとEBCDICの2形式、MS RPC/NDRではUTF-16もサポートしていますが、XDRではASCIIに統一されます。
• - アラインメントとパディング: データは32ビット単位でアラインされ、必要に応じてパディングが追加されます。これにより、異なるシステム間でのデータの整合性が保たれます。

これらの特徴により、各システムは内部形式とXDR形式との変換ルーチンのみを用意すればよく、異なる表現形式間の変換を個別に実装する必要がありません。しかし、内部形式とXDR形式が異なる場合、同じアーキテクチャ間でのデータ交換でも常に変換オーバーヘッドが発生する可能性があります。例えば、リトルエンディアンのIA-32/64系同士の通信では、エンディアン変換が常に発生します。

XDRの利用

XDRの利便性を高めるため、`rpcgen`というスタブコンパイラが提供されています。`rpcgen`を使用すると、データの整列化（シリアライズ）と非整列化（デシリアライズ）を行うプログラムを自動的に生成できます。

また、XDRは、ファイルシステムや特定のアプリケーションのデータフォーマットとしても使用されます。これにより、データの互換性が保証されます。

XDRを利用しているプロトコル・システム

XDRは、以下のプロトコルやシステムで利用されています。

• - ONC RPC: XDRはONC RPCの基盤となるデータ表現形式です。
• - NFS (Network File System): ネットワークファイルシステムNFSでデータ交換に使用されています。
• - R言語: 統計解析プログラミング言語であるR言語でデータのシリアライズ形式として使用されます。
• - SpiderMonkey: MozillaのJavaScriptエンジンであるSpiderMonkeyで使用されています。
• - sFlow: ネットワークモニタリングプロトコルであるsFlowで使用されています。
• - libvirt: 仮想化管理ツールであるlibvirtで使用されています。

関連項目

• - ONC RPC: XDRが使用される主要なRPCシステムです。
• - DCE/NDR: XDRと比較されることのある、別のデータ表現形式です。

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