プレゼンテーション層

プレゼンテーション層とは

プレゼンテーション層（Presentation layer）は、OSI参照モデルにおける7つの層のうち、第6層に位置する重要な役割を担う層です。アプリケーション層からのサービス要求に応じ、セッション層へサービスを要求します。この層の主な役割は、アプリケーション層がデータの構文の違いを意識することなく、データのやり取りができるように、情報形式の変換や表現方法の調整を行うことです。

プレゼンテーション層の役割

プレゼンテーション層は、単なるデータの羅列ではなく、より意味のある情報としてデータを扱うための最初のステップです。具体的な役割として、以下の点が挙げられます。

データ形式の変換: アプリケーション層に渡すデータ形式を整えます。例えば、EBCDICコードで記述されたテキストファイルをASCIIコードに変換するなど、異なるシステム間でデータをやり取りする際に、互換性のない形式を変換します。
データ表現の標準化: 文字列の表現方法を統一します。例えば、Pascal言語のようにデータ長を明示する方法や、C/C++言語のようにNULL文字で終端する方法など、異なる言語や環境でデータが正しく解釈されるように標準化します。
暗号化と圧縮: データを安全に送受信するために暗号化を施したり、データ量を削減するために圧縮したりします。暗号化はアプリケーション層など他の層でも行えますが、プレゼンテーション層で行うことが一般的です。
データ構造の標準化: オブジェクト指向プログラミングにおけるオブジェクトや、ストリーミングビデオの転送方法など、複雑なデータ構造の表現方法を標準化します。

アプリケーション層との関係

プレゼンテーション層は、アプリケーション層と密接に関わっています。実際、多くのアプリケーションやプロトコルでは、プレゼンテーション層とアプリケーション層が明確に区別されないことがあります。例えば、HTTPはアプリケーション層プロトコルと見なされますが、文字コードを識別して変換するなどのプレゼンテーション層の機能も担っています。これは、データ変換処理が、アプリケーション層で行われていることを示しています。

プレゼンテーション層のサービス一覧

プレゼンテーション層は、様々なサービスを提供しています。主なサービスには、以下のようなものがあります。

暗号化: データを第三者から保護するために暗号化します。
圧縮: データ量を減らして効率的なデータ転送を可能にします。

プレゼンテーション層の副層

プレゼンテーション層は、以下の2つの副層で構成されています。

CASE (Common Application Service Element): アプリケーション層のサービスと、プレゼンテーション層から要求されるサービスを提供します。具体的には、以下のようなサービスに対応します。
ACSE (Association Control Service Element)
ROSE (Remote Operation Service Element)
CCR (Commitment Concurrency and Recovery)
RTSE (Reliable Transfer Service Element)
SASE (Specific Application Service Element): 特定のアプリケーションに特化したサービスを提供します。具体的には、以下のようなサービス（プロトコル）があります。
FTAM (File Transfer, Access and Manager)
VT (Virtual Terminal)
MOTIS (Message Oriented Text Interchange Standard)
CMIP (Common Management Information Protocol)
JTM (Job Transfer and Manipulation)
MMS (Manufacturing Messaging Service)
RDA (Remote Database Access)
DTP (Distributed Transaction Processing)

プレゼンテーション層の例

プレゼンテーション層に関わるプロトコルの例として、以下のようなものが挙げられます。

AFP (Apple Filing Protocol)
ICA (Citrix Systems Core Protocol)
LPP (Lightweight Presentation Protocol)
NCP (NetWare Core Protocol)
NDR (Network Data Representation)
XDR (eXternal Data Representation)
X.25 PAD (Packet Assembler/Disassembler Protocol)

関連事項

通信プロトコル
* コンピューターネットワーク


プレゼンテーション層は、異なるシステム間でデータをやり取りする際に、データ形式や表現方法の違いを吸収し、円滑なデータ交換を可能にする重要な役割を担っています。アプリケーション層と密接に連携し、様々なサービスを提供することで、ネットワーク通信を効率的かつ安全に行うために不可欠な存在です。

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