F級駆逐艦 (2代)

F級駆逐艦：イギリス海軍の駆逐艦

F級駆逐艦は、イギリス海軍が1932-3年度計画に基づいて建造した駆逐艦の艦級です。E級駆逐艦の小改正型として、9隻が建造されました。ネームシップは「フィアレス」で、フィアレス級とも呼ばれることがあります。

開発の背景

イギリス海軍は、第一次世界大戦後の1924-5年度から駆逐艦の建造を再開しました。当初は、改W級駆逐艦をベースに、戦訓や新技術を導入したプロトタイプとして「アマゾン」と「アンバスケイド」が建造されました。その後、1927-8年度には量産型としてA級、1928-9年度には小改正型のB級が建造されました。1929-30年度には、燃料搭載量を増やすために大型化したC級、1930-1年度には対潜戦能力を強化したD級が建造されています。

C級とD級は高い評価を受け、1931-2年度には艦砲を換装したE級が建造されました。そして、1932-3年度には、E級を基に水雷兵器を改良した艦級としてF級が誕生しました。

設計

F級駆逐艦は、船首楼型で2本煙突という、C級からE級と同様の基本構成を採用しています。機関構成もE級とほぼ同じで、アドミラルティ式3胴型水管ボイラーとパーソンズ式オール・ギヤード・タービン（ジョン・ブラウン社艦ではブラウン・カーチス式タービン）を搭載しました。ボイラーは3室に分けて搭載されており、F級では新しい軽量化ボイラーを採用したことで、機関部の重量を20トン削減することに成功しました。しかし、この軽量化によってトップヘビーの傾向が生じ、復原性の問題はI級まで残ることになりました。

砲熕兵器は、E級と同じく45口径12cm砲（QF 4.7インチ砲Mk.IX）を4基（嚮導艦「フォークナー」は5基）搭載し、仰角40度のMk.XVII砲架と組み合わせています。対空兵器としては、4連装12.7mm機銃を搭載しました。

水雷兵器は、A級以降の21インチ魚雷発射管の4連装2基を装備し、搭載魚雷は炸薬量を増したMk.IXに更新されました。1931年9月以降に建造される駆逐艦にはASDIC（アクティブ・ソナー）が搭載されることになり、F級にもASDICと対潜爆雷投射機が搭載されました。また、従来の駆逐艦とは異なり、対機雷戦用の2速駆逐艦掃海具（TSDS）も併載されました。

第二次世界大戦中の改装

第二次世界大戦が勃発すると、F級駆逐艦は護衛駆逐艦として改装されました。レーダーや両用砲用FCSの搭載、20mm機銃の増設、後部魚雷発射管を撤去して45口径7.6cm高角砲（QF 3インチ砲Mk.I）を搭載するなど、防空火力の強化が図られました。さらに、対潜兵器としてヘッジホッグ対潜迫撃砲が追加され、爆雷搭載数も増加しました。「フォークナー」では、3番砲が4インチ高角砲に換装されました。

同型艦

F級駆逐艦は、嚮導艦1隻を含む9隻が建造されました。

フィアレス (HMS Fearless (H67))
フォックスハウンド (HMS Foxhound (H69))
フォレスター (HMS Forester (H74))
フォークナー (HMS Faulkner (H85))
フューリー (HMS Fury (H76))
フィッツロイ (HMS Fitzroy (H72))
フォアサイト (HMS Foresight (H68))
フォーチュン (HMS Fortune (H82))
フレアー (HMS Firedrake (H79))


第二次世界大戦中には、3隻が撃沈され、1隻が全損と判定されて修理を断念し解体されました。また、2隻がカナダ海軍に、1隻がドミニカ共和国海軍に引き渡されました。

参考文献

この文章を作成するにあたり、以下の資料を参考にしました。

Wikipedia: F級駆逐艦

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