F-104 (航空機)

F-104スターファイター

F-104は、ロッキード社が開発した超音速ジェット戦闘機であり、愛称は「スターファイター」として知られています。アメリカ空軍の「センチュリーシリーズ」の一員として、1954年に初飛行を果たしました。この機体は、当時アメリカが初めて製造したマッハ2を超える性能を持つ戦闘機であり、零戦に次ぐ多くの国での導入が行われました。特にナトー諸国で広く使われ、最終的には世界15カ国で運用されました。

概要

F-104は、細長い胴体に短い矩形の主翼を持つデザインが特徴で、センチュリーシリーズの一部として重要な役割を果たしました。ゼネラル・エレクトリック社製のJ79型エンジンを一基搭載し、その高性能により、ミサイルを彷彿させ、特に日本では「最後の有人戦闘機」としても語られました。アメリカ空軍では短期間しか運用されませんでしたが、多くの同盟国に供与され、ベトナム戦争や印パ戦争といった実戦でも活躍しました。この機体はその複雑な操縦や高コストが影響し、南ベトナムや韓国、フィリピンなどの発展途上国への供与はF-5A/Bなどが優先されました。

開発の経緯

開発の背後には、ロッキードの設計者、クラレンス・ジョンソンの戦闘機パイロットとの対話があります。彼は、朝鮮戦争の経験から、軽量で機動性の高い機体の必要性を認識し、複雑な構造を持つ大型機ではなく、必要最低限の装備を備えた小型機のデザインに取り掛かりました。このビジョンを元に、F-104の設計が行われました。

1952年に開発契約が締結され、その後、米空軍はF-104のプロトタイプの製作をロッキード社に依頼し、1954年に初飛行を成功させました。この機体は、迎撃戦闘機としての役割とともに、戦闘爆撃機としても利用されることになり、アメリカの航空戦力に多大な影響を与えました。

特徴

F-104の設計には、細長い機体と小型の主翼が採用され、空気抵抗を低減させる工夫がなされていました。また、独特なT字型の尾翼が設計されており、空力的な観点からも興味深い機体でした。しかし、その高翼面荷重は旋回性能に影響を及ぼし、間接的な操縦の難しさを伴いました。特に、迎え角を過剰に取ることで失速する危険も存在しました。

エンジンと性能

F-104はゼネラル・エレクトリック社のJ79ターボジェットエンジンを装備しており、これによってマッハ2以上の速度を達成しました。このエンジンは当時最高性能を誇り、アフターバーナーを使用することでさらに推力を増強でき、F-104は非常に高い上昇性能を持っていました。

兵装

F-104は、機銃（M61 20mmバルカン砲）を装備し、またAIM-9サイドワインダー空対空ミサイルも搭載することが可能でした。爆弾やクラスター爆弾もすぐに装備可能で、運用の幅が広がりました。

配備と運用

アメリカ空軍では運用される機体は限られていましたが、F-104G型は西ドイツやイタリア、カナダなど多くの国で使用されました。これにより、当機は冷戦時代の重要な軍事戦略において、国際的な役割を担うことになりました。この機体の生産は1970年代に入っても続き、最終的に全機が退役するまでに2459機が生産されるという偉業を達成しました。

伸びやかなフォルムと高い性能から多くの航空愛好家や兵器マニアに愛されたF-104は、その登場以来、記憶に残る戦闘機の一つと言えるでしょう。

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