F-16XL (航空機)

F-16XL 試作戦闘爆撃機

F-16XLは、元々ジェネラル・ダイナミクスが開発した試作戦闘爆撃機で、F-16ファイティング・ファルコンをベースにした派生型です。この機体は、第四世代半ばのジェット戦闘機に分類され、目を引く大型の機体と独特な主翼形状が特徴です。アメリカ空軍の強化型戦術戦闘機（ETF）計画に参加しましたが、最終的にはF-15E ストライクイーグルに敗れ、採用には至りませんでした。

概要

F-16XLは、1970年代後半から開発が始まりました。アメリカ空軍は老朽化の進んだF-111の代替機を必要とし、ETF計画を立ち上げました。この計画では、制空戦闘能力や対地攻撃能力、さらに超音速での巡航性能が求められていました。ジェネラル・ダイナミクスは、F-16の改修を通じてこれらの能力を実現可能と考えたものの、計画が途中で中止されました。

その後、マクドネル・ダグラスがF-15Eの初飛行を行い、ETF計画が再開されることになります。これを受けて、F-16XLは1982年に初飛行を果たしましたが、当初の目標であった超音速巡航性能は仕様変更により求められなくなり、より高い搭載量と航続距離が重視されました。最終的には、F-16XLの評価はF-15Eよりも劣っており、不採用となりました。

試作機の活用

不採用となったF-16XLの2機は、1988年にNASAに引き渡され、飛行研究に活用されることになりました。NASAでは、この機体を使って気流の動きや音速ブームの特性、離陸性能、エンジンの騒音に関する実験が行われました。この研究は1999年まで続き、その後機体はドライデン飛行試験センターに保管されました。

2007年には、ロッキード・マーティンが行った研究に利用され、さらに改良の可能性やコストに関する調査も行われました。最終的に2009年に両機は退役し、エドワーズ空軍基地にて保管されています。

特徴

F-16XLは、基本的にはF-16をベースにしていますが、主翼などの重要な部分に大きな改造が施されています。主翼はF-16のものより20%大きく、クランクト・アロー・デルタ翼の形状を採用しており、これにより安定性が向上しました。この設計改良により、低速飛行でも優れた安定性を持っています。

また、機体の重量が1,300kg増加し、全長も1.4m延長されることで、全体的な性能向上が期待されました。特に、兵装の搭載能力や対地攻撃機としての機能が強化されています。固定武装としてM61 20mmバルカン砲を搭載し、空対空ミサイルや対地攻撃装備も利用可能です。

スペック

• - 乗員数: 1-2名
• - 全長: 16.51m
• - 翼幅: 10.44m
• - 全高: 5.36m
• - 最大離陸重量: 22,000kg
• - エンジン: GE F110-GE-129 ターボファンエンジン×1
• - 最高速度: マッハ2.0
• - 航続距離: 4,590km

F-16XLは、試作機としての役割を果たした後、今日まで航空研究に資する存在となった機体であり、その特異なデザインと性能は、後の航空機開発にも影響を与えました。

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