F-20 (航空機)

F-20タイガーシャーク

F-20は、アメリカのノースロップ社によって開発された戦闘機で、一般にはタイガーシャークとして知られています。この機体は、F-5戦闘機の後継機として位置付けられ、主に米国と同盟関係にある中小国への輸出を考慮して設計されました。F-20は、その先進的な設計と新型エンジン、電子化された搭載機器により、性能向上を実現しましたが、政治的な背景によってわずか3機の試作機しか製作されませんでした。なお、試作機の1機は現在も現存しており、カリフォルニア・サイエンス・センターで展示されています。

開発経緯

F-20の開発は1974年に始まりました。当初は中華民国向けにF-5の改良案が検討されたものの、アメリカ政府が中華人民共和国との関係悪化を懸念したため、この計画は頓挫しました。しかし1980年に、カーター政権が中間国際戦闘機構想を策定したことを受け、ノースロップは自主開発を再開。1982年8月30日に初飛行を果たしました。

当初は新型機としての販売を禁止されていたため、F-5の改良型として扱われ、F-5Gという名称で呼ばれていました。また、同時期には、ジェネラル・ダイナミクスがF-16のダウングレード版であるF-16/79を提案し、これも輸出用の選択肢となりました。最終的には、中華民国はF-16を選択し、F-20は採用されませんでした。

機体設計

F-20は、F-5と異なり、F404ターボファンエンジンを単発で搭載しています。このエンジンは、驚異的な推力を持ちながら、軽量であり、スクランブル発進においては約3分で高度5,000mに到達します。高性能のマルチモードレーダーAN/APG-67を採用し、空対空ミサイルの運用も可能です。また、バディポッドを搭載することで空中給油機としての機能も持っています。

機体形状はF-5に類似していますが、空力特性の向上が施され、コクピットには最新のデジタルディスプレイも装備されるなど、最新鋭機に引けを取らない仕様となっています。フライ・バイ・ワイヤ技術は限定的に使用されていましたが、それでも高い運動性には定評があります。

採用状況

しかし、F-20は実際には1機も採用されることはありませんでした。最大の要因は、当時普及していたF-16の存在です。試作機の開発開始時点でF-16は既に性能向上が進められており、価格も下がっていたため、多くの国はF-20ではなくF-16を選択しました。また、ヨルダンとバーレーンがF-20の採用を検討しましたが、実現には至りませんでした。

ノースロップ社はF-20のライセンス生産を韓国に提案しましたが、実現しなかったため、プロジェクトは終了。F-20の試作機は3機が製作され、そのうちの2機がデモフライト中に墜落し、テストパイロットが殉職しました。現存する1号機は展示用ですが、エンジンは取り外されています。

余談

F-20はF-16以外にもYF-17など他の機体と競い合ってきた歴史を持ちます。また、機体番号「19」が欠番となっていることに由来し、極秘の航空機が存在するという噂も生まれました。日本の漫画などでの人気もあり、F-20は一部の航空ファンの間で非常に高い知名度を持っています。実際、F-20はたった3機の試作機であるにもかかわらず、その存在感とストーリーは多くの人々に記憶されています。

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