空中給油機

空中給油機について

空中給油機（くうちゅうきゅうゆき）は、航空機が飛行中に他の航空機へ航空燃料を供給するための特別な航空機です。この機器は「タンカー」とも呼ばれ、特に軍用機の運用において重要な役割を持っています。空中給油を通じて、給油を受けた航空機の滞空時間を大幅に延ばすことができ、戦闘行動や長距離移動が可能になります。

空中給油の方式

空中給油は主に二つの方式で行われます。一つは「フライングブーム方式」で、給油機の後部に装備されたブームを操作して給油を行います。この方法では、ブームを操作するために専任のオペレーターが必要です。このシステムは比較的大掛かりで、専用機体を使用することが一般的です。

初期の空中給油機は大型の爆撃機を改造したものを使用していましたが、後には旅客機や貨物機を元にしたものも広く使われるようになりました。

もう一つの方式は「プローブアンドドローグ方式」で、給油機に専任の人員が必要ないため、戦闘機などの小型機にも導入可能です。この方式は継続的に発展しており、例えばアメリカ海軍は2021年に無人機MQ-25を使った給油に成功しました。

空中給油機の設計と機能

空中給油専用機は通常、胴体内を全て燃料タンクにすることができないため、燃料タンクは体の一部分にとどめる必要があります。他の部分は輸送スペースとして利用されることが多いです。例えば、アメリカ海兵隊や航空自衛隊のKC-130では、貨物室内に着脱式の追加燃料タンクを設置することが可能で、必要に応じて輸送機としての機能を果たすことができます。

航空医療と輸送機能

民間航空機を基にした給油機は、輸送能力は制限されますが、人員の移動も可能です。航空自衛隊のKC-767は「空中給油・輸送機」として利用されており、特に航空医療後送（AE）にも活躍しています。最近の新型コロナウイルスの流行時には、イタリアがKC-767、ドイツがエアバスA310 MRTTを使用し、自国民の帰還を支援しました。

給油ポッドの重要性

給油機の進化には、プローブアンドドローグ方式用のポッドが大きな役割を果たしています。戦闘機にポッド式の給油装置を装備することで、給油機として転用可能です。アメリカ海軍では、ペイロードが大きい艦上機に給油装置を取り付け、「バディー・システム」と呼ばれる相互給油の運用を行っています。これにより、給油機の運用が効率化されています。

給油ポッドの仕様

ダグラス社が開発したD-704給油ポッドは、主翼下や胴体下面に吊り下げる形で使用されます。このポッドは、300ガロンの燃料と、12メートルのホースを内蔵し、風力原動機でホースを伸縮させることができる先進的な設計です。このような給油ポッドは、設計上の柔軟性を持つことで空中給油の利便性を向上させています。

空中給油機は、軍事作戦や緊急時の支援において、効率的かつ効果的に機能する重要な航空機です。長い航続距離を維持するために不可欠な存在となっており、今後もその技術は進化し続けるでしょう。

もう一度検索