F.60 (航空機)

ファルマン F.60 ゴリアト (F.60 Goliath)

ファルマンF.60ゴリアトは、1925年にフランスで開発された旅客機および爆撃機です。航空史において重要な役割を果たしたこの機体は、当時の航空技術の進歩を象徴する存在でした。その設計は第一次世界大戦後の航空機の需要に基づいています。

開発の背景

ファルマンF.60は、第一次世界大戦の末期にアンリ・ファルマンとモーリス・ファルマンによって計画されたFF60という機体の発展型です。FF60は1000kgの爆弾を搭載し、1500kmの航続距離を目指していましたが、戦争の終結により爆撃機への需要が減少しました。その結果、開発途上のFF60は旅客機へと方針転換され、1919年に初飛行を果たします。

最終的に、F.60は12～14名の乗客を運ぶことができ、1920年にはパリ－ブリュッセル間の国際便に就航しました。その後、1920年5月にはロンドンへ向かう便も運航され、ロンドン－パリ間の最初の旅客飛行となりました。これにより、F.60ゴリアトは1920年代初頭のヨーロッパで最も一般的な旅客機の一つとされ、フランスだけでなく、ベルギーやチェコの航空会社でも運用されました。

日本での導入と運用

1921年、日本陸軍は新型双発重爆撃機としてF.60を導入しようとしました。これにより、エンジンの性能や機体構造の改良が求められましたが、当時の技術では十分な結果を得ることは難しかったのです。日本では、1921年から1926年にかけて合計16機（または6機との説もあり）を購入し、丁式二型爆撃機として立川飛行場に配属されました。

とはいえ、F.60はその構造が第一次世界大戦時代の設計に基づいていたため、技術的には既に時代遅れとなっていました。搭載していたサルムソンエンジンは出力不足が否めず、結局ロレーヌ400馬力に換装されても性能向上には限界がありました。そのため、搭乗員や整備士からの評価は芳しくなく、数年間の訓練後、1928年には全機が退役することとなりました。

後続機体と評価

F.60の後に開発された爆撃機型として、F.62、F.65、F.68BN4などが存在します。これらの機体は、異なるエンジンや武装を搭載した変種であり、F.68BN4は特にポーランド空軍向けに32機が製造され、これらの中で最も多数の機体です。

F.60ゴリアトシリーズ全体では、約360機が製作されたとされており、当時の航空機の中でも成功作と見なされています。特に双発機としての安定性や搭載能力は評価されており、航空史における重要な機体としてその名を残しています。

スペック

• - F.60BN2

- 全幅: 26.50 m
- 全長: 14.77 m
- 全高: 4.90 m
- 翼面積: 153 m²
- 自重: 2,850 kg
- 離陸重量: 4,520 kg
- 動力: サルムソン9AZ 260 HP (331 KW) x2
- 最大速度: 160 km/h
- 上昇限度: 4,000 m
- 航続距離: 400 km
- 武装: 7.7 mm機銃×2 / 爆弾 400 kg

• - 丁式二型

- 全幅: 26.52 m
- 全長: 14.37 m
- 翼面積: 158.1 m²
- 総重量: 5,500 kg
- 動力: サルムソン 230 HP (後にロレーヌ 400 HPに換装) x2
- 最大速度: 156 km/h
- 上昇限度: 5,000 m
- 航続力: 4時間
- 武装: 7.7 mm機銃×2 / 爆弾 800 kg / 乗員: 4-5 名

• - F.68BN4

- 全幅: 26.50 m
- 全長: 14.77 m
- 全高: 4.90 m
- 翼面積: 153 m²
- 自重: 2,850 kg
- 離陸重量: 5,400 kg
- 動力: ノーム・ローン ジュピター 450 HP (331 KW) x2
- 最大速度: 154 km/h
- 上昇限度: 4,200 m
- 航続距離: 1,200 km
- 武装: 7.7 mmルイス機銃 x5 / 爆弾搭載量 1,040 kg

ファルマンF.60ゴリアトは、航空史における名機として今天でもその存在感を残しています。

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