F14C (航空機)

F14C艦上戦闘機の概要

F14Cとは、カーチス社がアメリカ海軍向けに開発した艦上戦闘機です。しかし、試作のみで量産には至りませんでした。1941年にアメリカ海軍は大出力液冷エンジンを搭載した戦闘機の製作をカーチス社に依頼しました。これにより、試作機XF14C-1を2機製造する契約が1941年6月30日に締結されたのです。同じ日に海軍はグラマン社とF6FおよびF7Fの開発契約も結んでいました。

しかし、XF14C-1の搭載予定であったライカミングXH-2470エンジンは開発がうまく進まなかったため、搭載エンジンの変更が余儀なくされました。新たに空冷のライトR-3350エンジン（ターボチャージャー付きで18気筒、出力2,300馬力）に切り替えられ、XF14C-1の開発はキャンセルされました。代わりに、空冷エンジンを搭載したXF14C-2の開発が続けられることになります。

さらに、高度12,000メートルでの飛行に対応するため、与圧コックピットを装備したXF14C-3の開発も計画され、2機が発注されました。しかし、エンジン変更による設計の手直しが必要となり、XF14C-2の初飛行は1943年9月まで遅れることとなりました。完成した試作機は1機のみであり、海軍への引き渡しは1944年7月でした。

実際の試験では、高度12,000メートルでの性能はある程度評価されたものの、最高速度は期待されたほどではなく、また飛行中の振動問題も深刻でした。日本の航空機は高高度性能が劣っていると考えられていたため、高度1万メートル以上での空中戦の可能性は低いとされ、F14Cの過剰な性能は不要と判断されました。さらに、エンジンの生産もB-29などへの需要が高まり、開発計画は中止され、XF14C-2以外の発注も取り消されました。その結果、XF14C-3の試作機は製作されないまま計画が終わることになりました。

機体の構成

XF14C-1及びXF14C-3は試作機が製作されなかった一方で、実際に製造されたのはXF14C-2のみです。XF14C-2の機首部分には3翅の二重反転プロペラが取り付けられており、エンジンに伴って胴体が比較的太めに設計されています。また、風防は多くのフレームを持つ形状ですが、これはコクピットを与圧式にするために考慮されたものです。

ターボチャージャーは機体の前底部に設置され、胴体下部の中央部より少し前方に位置しています。また、主翼の下部には排気口が、主翼の左右前縁にはインタークーラーの吸気口が配置されています。主翼は直線翼の形状を持ち、下翼配置ですがやや中翼気味です。艦載機としての特性を生かし、主翼は上方に折りたたむことができます。主翼中央部には20mm機銃が左右に2門ずつ装備される予定でした。

このように、F14Cは当初の期待を背負った艦上戦闘機として設計されましたが、様々な要因によって開発が中止され、最終的には試作機のみの存在となる運命を辿りました。

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