F2G (航空機)

F2G（Goodyear F2G）について

F2Gは、第二次世界大戦中にアメリカ海軍のためにグッドイヤー社が開発した艦上戦闘機です。もともとは、F4Uコルセアのライセンス生産型FGを改良したモデルですが、試作と限定的な量産のみに留まり、本格的な製造・配備には至りませんでした。この機体は、非公式に「スーパーコルセア」とも称されています。

背景

F4Uコルセアはチャンス・ヴォート社によって1942年に導入されたもので、その高空性能は優れていたものの、低速での失速特性が悪く、格闘空戦においては苦しむことがありました。特に、航空母艦搭載機としての運用に際しては、前下方の視界が不十分であったため、初期は地上機としての運用が主でした。戦闘機としては、同時に採用されたF6Fヘルキャットが制空任務を担い、F4Uは主に戦闘爆撃機として使用されました。アメリカ海軍としてはF6FをF4Uの“保険”と位置付けつつも、F4Uの改良型への期待が高まりました。

1943年には、3,000馬力級のプラット・アンド・ホイットニーR-4360エンジンの実用化に成功し、これをF4Uに搭載する計画が始まります。実験機F4U-1WMでは順調に飛行試験が進みましたが、F4Uの本格的な改良には時間と手間がかかり、海軍はグッドイヤーとブルースターに開発を依頼することになりました。ブルースターは生産のためのリソースが不足していたため、グッドイヤーが選ばれたのです。

開発の過程

F4U-1WMを基にして改造されたXF2Gの試作機は、上昇率は優れていたものの、速度向上は期待したほどではありませんでした。さらに、前下方視界の問題が依然として残っており、艦上機としての実用性には課題がありました。これに対して、諸改良が施されたF2Gとして正式に気体が発注されたものの、実用化にはさらなる開発が必要との評価がありました。

1944年、グッドイヤー社は二重反転プロペラの導入や主翼・胴体の全面改設計を提案しましたが、他社の競合機が既に高性能機を完成させていたため、F2Gの開発は次第に不要視されることになりました。アメリカ海軍もジェット機の開発に重点を置く方針へと移行し、F2Gのさらなる開発は行われず、最終的に第二次世界大戦の終結と共にこのプロジェクトはキャンセルされました。

生産とその後

1945年までに10機の先行量産型が完成しましたが、本格的な部隊配備は行われず、実戦には投入されませんでした。戦後、これらの機体は各種テストに使用された後、民間に払い下げられエアレーサーとして活動するようになりました。2020年には数機が静態や動態保存機として存在しており、歴史的な価値が認められています。

機体の特徴

F2GはF4Uとほぼ同様の構造を持ちながら、エンジンはP&W R-4360（28気筒、3,000馬力）に換装されています。前下方視界を改善するための設計変更が施され、主翼内に燃料タンクの増設が行われました。武装は大きな変化はなかったものの、数丁の機銃と爆弾、ロケット弾の搭載が可能でした。これにより、戦闘機としての役割を果たすための改良が図られましたが、最終的には時代の変化に取り残される結果となりました。

現在の状況

今なおいくつかのF2G機が保存状態にあり、航空博物館などで見ることができます。また、いくつかのゲームやメディアに登場し、航空機ファンに親しまれています。歴史的な背景を持つF2Gは、戦闘機の開発史の中でも貴重な存在として今なお語り継がれています。

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