F3D (航空機)

F3D スカイナイト（Douglas F3D Skyknight）

F3Dスカイナイトは、アメリカのダグラス社が開発した艦上戦闘機で、アメリカ海軍及び海兵隊における全天候戦闘機としての役割を担っていました。愛称の「スカイナイト」は、「空の騎士」という意味を持っており、後にF-10スカイナイトという名称に改称されました。

開発の背景

第二次世界大戦が終結した後、アメリカ海軍は艦上で運用可能な全天候型のジェット戦闘機の開発を進める必要があると認識しました。1946年4月、海軍はダグラス社にXF3D-1というコードネームの元開発を依頼しました。ダグラス社は、エド・ハイネマンの指導の下でこのプロジェクトに取り組み、1948年3月28日に試作機が初めて飛行しました。これは新しい時代の戦闘機として、海軍のニーズに応えるための重要なステップとなりました。

設計と特徴

F3Dスカイナイトの設計は、主翼が中翼配置の直線翼を特徴としており、エンジンは主翼付け根の下に配置されています。この主翼は中央部で折りたたむことができ、航行中に便利さをもたらしました。また、F3Dは全天候型の戦闘機であったため、レーダーとそれを操作するための乗員も必要とされました。乗員は2名おり、並列に座る配置となっています。安全面に配慮し、射出座席ではなく、特別に設けられた脱出トンネルを通じて、非常時には迅速に脱出できるようになっていました。武装としては、胴体に20mm機銃を4門搭載し、様々な任務に対応できる能力を有していました。

運用と実績

量産型のF3D-1はJ34-GE-24エンジンを搭載し、1950年から部隊に配備が開始されました。その後、F3Dは韓国戦争でも活躍し、特に1952年11月2日には夜間戦闘においてMiG-15を撃墜するなど、その性能を証明しました。F3Dは1960年代まで運用され続け、その後、電子戦機型のEF-10Bがベトナム戦争に投入され、1970年に退役するまで長い運用期間を持ちました。振り返ってみると、F3Dの運用期間は多岐にわたり、多くの任務を成功裏に遂行しました。

派生型

F3Dにはいくつかの派生型が存在しました。これには、初期量産型であるF3D-1（後の呼称F-10A）や、スパローIミサイルを装備したF3D-1M、新たなエンジンと改良を加えたF3D-2（F-10B）などが含まれます。さらに、電子戦用のF3D-2Q（EF-10B）や訓練用のF3D-2T（TF-10B）など、様々な用途に特化したバリエーションが開発されました。

現在の状況

F3Dスカイナイトは軍から退役した後も一部の機体がレイセオンでテスト機として80年代まで運用されていました。また、さまざまなメディアや書籍にも登場し、その存在感を示し続けています。たとえば、書籍『侵攻作戦パシフィック・ストーム』では、アメリカ海軍の艦上戦闘機として描かれ、多くのパイロットに親しまれる存在となっています。

F3Dスカイナイトは、アメリカ海軍の航空機史において重要な位置を占めており、その設計の革新性と多用途性は、多くの後継機にも影響を与えました。

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