FAKHRAVAC

FAKHRAVACワクチンについて

FAKHRAVAC（ファクラバック）は、イランの国防省に属する防衛イノベーション・研究機構によって開発されたCOVID-19ワクチンの名称です。このワクチンは、イラン国内での新型コロナウイルス感染症の流行に対応するため、国の研究機関が取り組んできた成果の一つです。FAKHRAVACは、イランが開発したCOVID-19ワクチンの中では、臨床試験を完了したものとしては3番目に位置づけられています。

開発背景と名称の由来

このワクチンの名前は、イランの著名な核物理学者モフセン・ファフリザデにちなんで名付けられました。彼はワクチン開発に尽力していたものの、2020年11月に悲劇的な暗殺に遭っています。FAKHRAVACの開発は、彼の功績を称える意図も含まれています。2021年9月の時点で、FAKHRAVACは第3次臨床試験を実施中であり、緊急使用が認められたのは同年9月9日でした。

用法および用量

FAKHRAVACは不活化ワクチンであり、接種は18歳以上の対象者を対象としています。免疫を獲得するためには、3週間の間隔を空けて2回の接種が必要であり、それぞれの接種では10マイクログラムが筋肉内に注射されます。このように、規定された使用方法に従い、適切な手順で接種されることが求められます。

臨床試験の詳細

FAKHRAVACの臨床試験は段階的に行われており、以下のように推移しています。

1. 第1次臨床試験（2021年3月8日開始）
135名の18歳から55歳までの被験者に対して実施され、二重盲検法によるランダム化比較試験として行われました。96名にはFAKHRAVACが投与され、39名には偽薬（プラセボ）が供給されました。

2. 第2次臨床試験（2021年6月8日開始）
500名の18歳から70歳までの新型コロナウイルス感染歴がない男女を対象に、二重盲検法でのランダム化比較試験が行われました。被験者は250名ずつのグループに分けられ、FAKHRAVACとプラセボの投与が実施されました。

3. 第3次臨床試験（2021年8月29日開始）
41,128名の成人が対象であり、ここでも二重盲検法が用いられ、一方にはFAKHRAVACが、もう一方には中国製のシノファームCOVID-19ワクチンが与えられました。

ワクチンの製造状況

2021年9月時点で、当時のイラン国防大臣の声明によれば、FAKHRAVACの月間製造能力は100万回分でしたが、2、3か月以内にその製造数は大幅に増加する計画がありました。しかし、2021年10月には外国ワクチンの輸入が進む中、FAKHRAVACの製造は一時中止されています。2022年1月には、最初のワクチン46万2000回分が保健当局に対して輸送されたと伝えられています。

承認状況

FAKHRAVACは、2021年9月9日にイランで緊急使用の許可が与えられました。その後2021年10月には、ブースター接種を可能にするための完全な承認が政府により検討されていると報じられました。FAKHRAVACは、イラン国内外の新型コロナウイルス対策に寄与する重要なワクチンとして位置付けられています。

このように、FAKHRAVACはイランの科学者たちの努力と、新型コロナウイルス感染症に立ち向かうための国の意志を反映したワクチンであると言えるでしょう。

もう一度検索