FKオビリッチ

FKオビリッチ：栄光と闇に彩られたセルビアのサッカークラブ

FKオビリッチ（Fudbalski klub Obilić）は、セルビアの首都ベオグラード、ヴラチャル地区を本拠地としていたサッカークラブです。1924年に創設され、セルビアの英雄ミロシュ・オビリッチにちなんで命名されました。

激動の歴史

クラブは長らく目立たない存在でしたが、1996年に転機が訪れます。悪名高い武将ジェリコ・ラジュナトヴィッチ（アルカン）によって買収されたのです。ラジュナトヴィッチの資金力と強引な手腕により、オビリッチは急速に力をつけ、1996-97シーズンにはユーゴスラビア・プルヴァ・リーガBで優勝。翌1997-98シーズンには、強豪レッドスター・ベオグラードとパルチザン・ベオグラードの牙城を崩し、ユーゴスラビア崩壊後としては唯一となるリーグ優勝を果たしました。

栄光の裏に隠された闇

しかし、その成功の裏には、暴力と脅迫がつきまとっていました。ラジュナトヴィッチは、オビリッチ戦でゴールを決めた相手選手を脅迫し、ホームスタジアムには兵士が詰めかけ、相手選手に銃を向けて脅迫的な文言を叫んだと伝えられています。ある選手は、フォーフォーツーのインタビューで、オビリッチ戦の際に誘拐され、ガレージに監禁されたため出場できなかったと証言しています。

これらの行為は、欧州サッカー連盟（UEFA）の知るところとなり、1998年の夏には、ラジュナトヴィッチの裏社会との関係を理由に、オビリッチの国際大会出場禁止が示唆されました。これを受け、ラジュナトヴィッチは会長を辞任し、妻であるスヴェトラナ・ラジュナトヴィッチにその座を譲りました。

タイトル

国内タイトル

リーグ：1回
1997-98 ユーゴスラビア / セルビア・モンテネグロリーグ
カップ：なし

国際タイトル

なし

欧州の成績

国際大会には出場禁止処分を受けているため、特筆すべき成績はありません。

歴代所属選手

サシャ・ドラクリッチ (1994)
ネシュコ・ミロヴァノヴィッチ (1999)
ニコラ・ラゼティッチ (1999-2000)
ネナド・ジョルジェヴィッチ (1999-2003)
マルコ・パンテリッチ (2002)
ペタル・ヴァシリェヴィッチ (2003-2004)
アレクサンダル・ジヴコヴィッチ (2004)
ボヤン・ブルノヴィッチ (2004-2005)
* スルジャ・クネジェヴィッチ (2005-2006)

クラブの終焉

ラジュナトヴィッチの死後、クラブは急速に衰退し、2000年代後半には下部リーグに降格。2020年には解散しました。FKオビリッチは、セルビアサッカー史における、栄光と闇が交錯した特異な存在として記憶されています。

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