FLY! FLY! FLY!

FLY! FLY! FLY!（フライ! フライ! フライ!）

『FLY! FLY! FLY!』は、日本の航空業界の多岐にわたる分野を、一般視聴者にも分かりやすく解説するドキュメンタリー番組およびそれを基にした書籍シリーズです。

制作の経緯

このシリーズは、映画『ハッピーフライト』の企画・取材に端を発しています。同作の監督を務めた矢口史靖氏とプロデューサーの関口大輔氏は、映画制作のために約2年もの歳月をかけ、航空業界に関する広範かつ綿密な調査を実施しました。しかし、映画本編で実際に使用されたのは、調査で得られた情報のわずか1割程度に過ぎませんでした。残りの膨大な情報は日の目を見ることなく埋もれてしまう状況でしたが、その価値を惜しんだ関口プロデューサーの発案により、未活用となった情報や取材映像を再構成し、ドキュメンタリー番組として世に送り出すことが決定されました。

ファースト・シーズン

映画『ハッピーフライト』の公開に合わせて展開されたファースト・シーズンは、航空業界の様々な仕事や場所、関連する事象に焦点を当てています。番組と同時に書籍も刊行されました。全エピソードのナレーションは女優の吹石一恵が担当。ANA、スターアライアンス、国土交通省といった主要機関が制作に全面的な協力を惜しみませんでした。

主なエピソード（書籍チャプター）のテーマには、以下のようなものがあります。

航空機製造の現場（ボーイング）
退役した航空機の保管・解体が行われる場所（モハベ空港）
機内で提供される食事の製造工程（機内食工場）
空港で地上業務を担うスタッフ（グランドスタッフ）
航空機の運航を地上から支える仕事（航空管制）
『ハッピーフライト』出演者が旅する紀行企画（ヨーロッパ、アメリカ、カンボジア編）

発売元はポニーキャニオンです。

セカンド・シーズン

セカンド・シーズンは、世界初の3D連続ドラマ『TOKYO コントロール』の関連企画として位置づけられました。ドラマ本編をより深く理解するための補足情報を提供するミニ番組として制作され、ドラマの各話放送前後に放映されました。これらのミニ番組は、『TOKYO コントロール』のBlu-rayおよびDVDボックスに特典映像として収録されています。

ドラマ本編前に放送されたミニ番組（『FLY! FLY! FLY!』）のテーマ：

航空管制官の役割
航空管制の実際
レーダー画面の見方
パイロットの搭乗訓練
到着時の時差計算
飛行機運航と気象の関係
航空監視レーダーの仕組み
航空無線について
航空保安大学校の紹介

ドラマ本編後に放送されたミニ番組（『FLY! FLY! FLY!紀行』）のテーマ：

東京コントロールが所在する所沢
YS-11に関連する航空公園駅
日本の航空路を統括する福岡ATM
日本の航空発祥の地、所沢
管制官を技術面で支える人々
航空安全を願う飛不動
飛行機の墓場として知られるモハベ空港
航空産業の中心地、シアトル

書籍

『世界へハッピーフライト FLY!FLY!FLY!日記』（2008年10月刊行、角川学芸出版、ISBN 9784046213914）

主なスタッフ

ナレーション：吹石一恵
企画：関口大輔
ディレクター：尾形竜太
制作：FILM LLP

特筆すべき内容

このシリーズは、映画『ハッピーフライト』の撮影開始に先行して取材が行われていたエピソードも存在します。特に、ボーイング社のエピソードでは、ボーイング777型機の製造工程を長期にわたって追いかけた貴重な映像が収められています。また、通常は撮影が厳しく制限されているモハベ空港内部に潜入し、退役機がその生涯を終える様子を取材。ANAのトップシークレットとされる機内食の製造工程が初めて公開されたエピソードや、航空管制という専門的な仕事をCGを用いて分かりやすく解説した回なども特筆されます。

映画『ハッピーフライト』の公開時期には、BSフジやCS日本映画専門チャンネルでダイジェスト版が放送されたほか、ANA国際線にて約3ヶ月間、機内上映バージョン（DVD版とは内容が異なる）が提供されました。さらに、2008年8月には「しらたか的音楽映画塾」でプレミア上映が行われたり、後に放送されたテレビドラマ『ミス・パイロット』（2014年）の第3話において、モハベ空港のエピソードがインスピレーションの源となるなど、多方面に影響を与えています。

関連作品

ハッピーフライト
TOKYO コントロール
TOKYOエアポート〜東京空港管制保安部〜
ミス・パイロット

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