FM STATION

FM STATIONの歴史と特長

FM STATION（エフエム ステーション）は、日本国内のFMラジオ放送に特化した情報を提供するために、1981年にダイヤモンド社から創刊されました。この隔週刊の雑誌は、音楽ファンに向けた情報源として高い人気を博しました。

創刊と初期の展開

FM STATIONの創刊号は1981年7月6日に発行され、発行人は坪内嘉雄、編集人は高橋直宏でした。同誌の独自性を際立たせるため、従来の競合誌に比べて安価な定価200円が設定されました。また、他の情報誌がA4サイズの平綴じであるのに対し、FM STATIONは大判のB4サイズの中綴じ形式を取り入れ、番組表も広めに設計されていました。これにより読者が番組表にマーカーを使いやすい構造が特徴でした。

創刊時点では、既存の音楽ジャンル（クラシックやジャズ）を主に扱う競合誌が多かった中で、FM STATIONは邦楽や洋楽のポップス、そしてアイドル歌手に焦点を当てることで、10代から20代の若者層をターゲットになりました。特にアイドル歌手の記事は、他の雑誌ではあまり取り上げられなかったため、読者から好評を博しました。

人気の高まりと休刊

発売当初は競争が激しく低迷していましたが、1985年頃になると売上が上昇し、ついには競合誌を超える50万部を達成しました。しかし、1995年には販売部数が減少し始め、地域版の廃止や内容の一般音楽誌への転換などの試みが行われました。1998年3月、FM STATIONはついに休刊となりました。

表紙デザインとコーナー

創刊から1988年までは、鈴木英人による独特なイラストが毎号の表紙を飾っていました。このイラストは他誌との差別化に寄与し、特に人気がありました。鈴木のイラストは1984年には「FM STATION ILLUSTRATED」として画集にまとめられ、カセットテープケースの付録も多くのファンに支持されました。

また、雑誌には多彩なコーナーが設けられ、読者参加型のコンテンツも充実していました。「好きなアーティスト」「嫌いなアーティスト」の年に一度の読者投票や、「FM PHOTO ESSAY」など、音楽ファンに楽しんでもらえる企画が盛りだくさんでした。

地方版の発行と番組との連携

FM STATIONは、地域のFM局の番組表を詳細に掲載する地方版も特徴でした。創刊当初から地方のFM局の開局ラッシュに柔軟に対応し、新たな版を加えながら展開していきました。さらに、「FM STATION my sound graffiti」というラジオ番組も放送され、雑誌と連動した企画が行われました。

結論

FM STATIONは、1980年代の日本の音楽シーンにおいて重要な役割を果たした情報源であり、若者たちに向けた新しい音楽文化の発信基地として多くのファンに愛されました。しかし、時代の変化に伴い、競合との激しい戦いの中で1998年にその幕を下ろしました。その記憶は、今でも多くの音楽ファンの心に残り続けています。

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