FOREVER LOVE (清春のアルバム)

清春のキャリアにおいて重要な位置を占めるアルバムの一つが、通算5作目となる『FOREVER LOVE』です。2008年に発表されたこの作品は、日本のロックシーンで確固たる地位を築く清春が、特別な想いを込めて制作しました。アルバムタイトルの通り、本作は清春にとって非常にパーソナルな背景を持つ一枚です。具体的には、2007年9月27日に逝去された彼の父に捧げられた作品であり、深い哀悼と愛情の念が音楽全体に満ちています。単なる楽曲の集合体ではなく、一つの物語、あるいはメッセージとしてリスナーに語りかけるような性質を持っています。

リリース形態と収録曲の特色

アルバム『FOREVER LOVE』は、市場に向けて二種類の形態でリリースされました。一つは、特典映像を収めたDVDが付属する初回限定盤、もう一つはCDのみの通常盤です。これらのリリース形態の違いは、単に特典の有無にとどまらず、収録曲にも影響を与えています。特に注目すべきは、通常盤にのみ収録されている楽曲「PHANTOM LOVER」です。この曲は、清春がかつてカリスマ的人気を誇ったバンド、黒夢時代にインディーズアルバム『亡骸を…』に収められていた楽曲「亡骸を」を、セルフカバーしたものです。過去の自身の楽曲を現在の視点と表現力で再構築したこのセルフカバーは、長年のファンにとって非常に感慨深い一曲であり、アルバムの持つパーソナルなテーマとも深く結びついています。初回盤にはこの曲が含まれていないため、両方の形態を揃えるファンも少なくありませんでした。

収録曲に関するもう一つの特筆すべき点として、「TATTOO」のバージョン違いが挙げられます。この楽曲はアルバムに先駆けてシングルとしてリリースされていましたが、『FOREVER LOVE』に収録されているバージョンは、シングルとは異なるアレンジが施されています。アルバム全体の流れや世界観に溶け込むように、サウンドや構成が調整されていると考えられます。また、アルバムに収録されている楽曲「愛撫」は、発表後に別のアレンジが加えられ、改めてシングルカットされています。これは、「愛撫」がアルバムの中でも特に楽曲として評価が高く、より広くリスナーに届けられるべきだと判断されたことを示唆しています。このように、収録曲それぞれのバージョンや派生にも、制作者の意図や戦略が見て取れるのが『FOREVER LOVE』の特徴の一つと言えるでしょう。

制作を支えたミュージシャンたち

本作のサウンドを形成する上で欠かせないのが、清春のボーカルと楽曲に加え、参加ミュージシャンたちの貢献です。『FOREVER LOVE』の制作には、多くの熟練したプレイヤーたちが名を連ねています。

アルバム全曲において、サウンドの要となるプログラミング、ギター、アコースティックギター、そしてベースを担当したのは三代堅氏です。彼の多才なプレイは、アルバムの多様な楽曲スタイルを支える強固な基盤となっています。
特定の楽曲では、中村佳嗣氏がギターで参加しており、M-2、M-3、M-4、M-9、M-13にその演奏を聴くことができます。
ベースパートの多くは、沖山優司氏が担当し、M-2、M-3、M-4、M-6、M-7、M-8、M-9、M-10、M-11、M-12、M-13といった幅広い楽曲でそのプレイを聴くことが可能です。
ドラムパートでは、小西昭次郎氏が中心となり、M-2、M-3、M-4、M-7、M-9、M-10、M-11、M-12、M-13に参加しています。
* さらに、ひぐちしょうこ氏もドラムで参加しており、M-6とM-8で力強いリズムを刻んでいます。

これらの参加ミュージシャンたちが、それぞれの楽曲に最適な表現をもたらすことで、『FOREVER LOVE』は豊かな音楽性を獲得しています。

作品の意義

父への追悼という深いテーマを持ちながらも、音楽的には多様なアプローチが試みられている『FOREVER LOVE』は、清春のアーティストとしての成熟度と表現力の幅広さを示す作品です。過去の自身の楽曲を再解釈する試み、先行シングルやアルバムからのシングルカットにおけるバージョンの違い、そして豪華なサポートメンバーによる緻密な演奏。これらの要素が複合的に絡み合い、リスナーに感動と発見を提供する一枚となっています。清春のファンにとってはもちろんのこと、日本のロック史においても、その個人的な背景と音楽的内容の両面から記憶されるべき重要なアルバムと言えるでしょう。

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