FPS単位系

FPS単位系：フィート、ポンド、秒を基本単位とする単位系

FPS[単位系]]（foot-pound-second system）とは、ヤード・ポンド法における単位系の一つです。その名の通り、長さの単位としてフィート]、[時間の単位として秒]を用います。しかし、ポンド(pound)については、[[質量、力、重さのいずれを表すかによって、単位系の解釈が3種類存在します。これはヤード・ポンド法特有の現象ではなく、メートル法など他の単位系でも同様の問題が見られます。

FPS単位系の3つの変種

20世紀中頃までは、英語圏の技術文書においてFPS単位系が広く用いられていました。単位系の整合性を保ち、単位間の変換を容易にするために、全ての物理量に一貫した単位を用いる方法が考案され、これはストラウド・システム(Stroud system)と呼ばれています。

FPS単位系の3つの変種は、ポンドをどのように解釈するかで区別されます。

1. 絶対FPS[単位系]: ポンドを秒'>[質量]]の単位として用います。これはMKS単位系]や[CGS単位系]と類似しており、力の単位は組立単位であるパウンダル(poundal, pdl)となります。1 pdl = 1 lbm・ft/s² の関係があります。質量の単位であるポンドは、しばしば「質量ポンド(pound-mass, lbm)」と表記されます。

2. 重力FPS[単位系]: ポンドを力の単位(重量ポンド, pound-force, lbf)として用います。これはアメリカ合衆国の技術者間で広く用いられてきました。質量の単位は組立単位であるスラグ(slug)となり、1 slug = 1 lbf・s²/ft の関係があります。

3. 英国工学[単位系]: 質量ポンドと重量ポンドの両方を用いる一貫性のない単位系です。スラグやパウンダルは用いられず、電磁気や物質量の単位も明確に定義されていません。現在ではイギリスでもほとんど使用されていません。

その他の単位

FPS[単位系]]では、物質量の単位としてポンドモル]が用いられていました。これは、SI[[単位系のモルがグラムモルから定義されるようになる以前の単位です。

電磁気の単位としては、静電[単位系]と電磁[単位系]が用いられていました。これらは、CGS単位系と密接な関係があり、例えば、FPS静電単位(fpse)とFPS電磁単位(fpsm)が定義されていました。

光の単位としては、燭(キャンドル, candle)とフィート・キャンドル(foot-candle)が初期に定義されました。フィート・キャンドルは、標準蝋燭から1フィート離れた位置での光度を表します。

単位系の換算

FPS単位系の変種間の換算には、重力加速度gの値が必要です。1901年には標準重力加速度g0 = 9.80665 m/s²が定められ、これはヤード・ポンド法では約32.17405 ft/s²に相当します。

1959年には、フィートとポンドの国際的な標準が定められ(1 ft = 0.3048 m, 1 lb = 0.45359237 kg)、ヤード・ポンド法とメートル法の換算が容易になりました。例えば、1 pdl = 0.138254954376 Nとなります。

「[重さ]」という用語は、物理学や工学では重力(力)の意味で、商業や法律では質量の意味で使用されるため、FPS単位系におけるポンドの解釈の多様性は、混乱を招く可能性があります。

まとめ

FPS単位系は、ポンドの解釈によって複数の変種が存在する歴史的な単位系です。現在ではSI単位系が広く用いられていますが、FPS単位系の理解は、物理学や工学の歴史を理解する上で重要です。特に、古い文献を読む際には、どの変種が用いられているかを注意深く確認する必要があります。

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