FR (航空機)

FR ファイアボール（Ryan FR Fireball）

FR ファイアボールは、アメリカ合衆国のライアン社が1940年代にアメリカ海軍のために製造した艦上戦闘機です。この機体は、初期のジェットエンジンの燃費問題を解決するために、高出力のジェットエンジンと優れた燃費性能を持つレシプロエンジンを組み合わせた複合動力機として設計されました。

機体の設計

FR ファイアボールの機体形状は、当時の一般的なレシプロ戦闘機と似ています。胴体は葉巻のような形状をしており、低翼配置の直線翼を持っています。機体の前方にはプロペラが装着されており、後方にはジェットエンジンの噴射口が配置されています。これにより降着装置は前輪式となり、艦載機としての利用を考慮した設計がされています。また、主翼は折りたたみ機能を備え、艦船の甲板に収容が容易なように工夫されています。

開発経緯と生産

すべての開発が始まったのは1943年2月で、試作機であるXFR-1は1944年6月25日に初飛行を果たしました。しかし、この時はレシプロエンジンを搭載しての飛行でした。続いて、1944年12月には量産型のFR-1として100機が発注され、翌年1月には改良型FR-2の600機も発注されましたが、戦争の終結に伴い全てが生産されることはありませんでした。結局、FR-1は66機しか製造されず、残りの発注はキャンセルされました。1945年5月には、この機体が編成した第66戦闘飛行隊（VF-66）が存在したものの、実際の戦闘には投入されることはありませんでした。

学び取った教訓

FR ファイアボールは、アメリカ海軍における初のジェットエンジンを搭載した艦上機としての役割を担っており、1945年11月6日には護衛空母ウェーク・アイランド（CVE-65）にて初めてジェットエンジンを搭載した機体が艦上着艦を行いました。しかし、戦争の終結と共にジェットエンジンの技術が急速に進化したため、FR ファイアボールは短期間で時代遅れの機体となり、1947年にはその役目を終えました。

当初の計画では、レシプロエンジンにターボプロップエンジンを搭載したXF2R ダークシャークも開発されていましたが、量産には至りませんでした。

現在の保存状態

現在、FR ファイアボールはカルフォルニア州の博物館に1機が展示されています。この機体は歴史的な意義を持つ一つの象徴として、多くの航空ファンや歴史に興味を持つ人々に親しまれています。

関連作品

FR ファイアボールは、多くの作品に登場しています。小説『侵攻作戦パシフィック・ストーム』では、合衆国海軍機として「FR1ファイアボール」という名称で登場。また、人気ゲーム『艦隊これくしょん -艦これ-』でも、艦載機装備として「FR-1 Fireball」の名称で利用可能です。

参考文献

• - アメリカ海軍機 1946-2000 増補改訂版 ミリタリーエアクラフト’01年2月号別冊 デルタ出版

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