FRIDAY TO SUNDAY

角松敏生のセカンドシングル「FRIDAY TO SUNDAY」は、1982年4月21日に発売され、多くの音楽ファンに記憶されている作品です。このシングルは、前年にリリースされた彼のセカンドアルバム『WEEKEND FLY TO THE SUN』からのリカットとして世に出ました。

アルバム『WEEKEND FLY TO THE SUN』は、ロサンゼルスでレコーディングが行われ、著名なミュージシャンが参加した作品として知られています。しかし、角松敏生自身は、TOM TOM 84によるアレンジについて、当時から幾分不満を持っていたと語っています。このアレンジは、古いソウルミュージックを思わせる、隙間を大切にしたスタイルだったのですが、彼の好みには合わなかったようです。

シングル「FRIDAY TO SUNDAY」は、アルバム収録時とは異なり、フェードアウト処理が施されています。アルバムでは次の曲「PRELUDE」と続けて収録されているため、シングルバージョンでは編集されている点が興味深いところです。

B面にはアルバム未収録の楽曲「I'LL CALL YOU」が収録されています。この曲は、11年後、1993年に発売されたベストアルバム『1981-1987』に収録される際、リテイクバージョンとして再登場しました。オリジナルのトラックから、女性コーラス、ホーンセクション、そして間奏部の語りのみを残し、それ以外の部分は打ち込みに差し替えられています。この大胆なアレンジ変更は、楽曲に新たな息吹を吹き込み、新たな魅力を生み出しました。

「I'LL CALL YOU」の歌詞は、1982年当時のファッション雑誌『コスモポリタン』の記事にヒントを得て制作されたと言われています。雑誌の記事には、“男からの『また電話するよ』というセリフは、別れを告げる言葉である”といった内容が書かれていたそうです。角松敏生はこの記事にインスピレーションを受け、この曲を創作したとコメントしています。

シングルのジャケット裏面には、A面とB面の両楽曲の歌詞が掲載されているとともに、『WEEKEND FLY TO THE SUN』の発売告知も記されています。このジャケットは、当時の音楽シーンを反映したデザインであり、コレクターアイテムとしても価値のあるものです。

「FRIDAY TO SUNDAY」は、角松敏生のキャリアにおいて重要な位置を占めるシングルであり、その後の彼の音楽活動に大きな影響を与えました。楽曲のサウンド、制作背景、歌詞に込められたメッセージなど、様々な角度から考察することで、この作品の魅力をより深く理解することができるでしょう。このシングルは、角松敏生というアーティストの才能と、時代の音楽的背景を理解する上で貴重な資料となっています。

岡村右氏が担当ディレクターを務めたこのシングルは、音楽史における一端を担うとともに、角松敏生ファンにとって、特別な意味を持つ作品となっています。発売から既に数十年が経過していますが、その音楽的価値は今も色褪せることなく、多くの人々を魅了し続けています。

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