WEEKEND FLY TO THE SUN

WEEKEND FLY TO THE SUN：角松敏生の都市生活者を描いた傑作アルバム

1982年4月5日、角松敏生による2枚目のオリジナルアルバム『WEEKEND FLY TO THE SUN』がリリースされました。本作は、ロサンゼルスでのレコーディング、そしてTOM TOM 84による全曲アレンジという豪華な制作体制で制作されています。

アルバム全体は、平日の忙しさから週末の解放感へと至る都市生活者の心情を、音楽で鮮やかに表現しています。1曲目から4曲目までは、OLや会社員といった都市生活者の平日の情景が、アップテンポからミディアムテンポの楽曲で描かれています。朝の始まりを告げる曲から、昼休み、そして夕方の通勤ラッシュまで、1日の流れが音楽に凝縮されているかのようです。5曲目『FRIDAY TO SUNDAY〜PRELUDE』では、いよいよ週末へと突入する高揚感が感じられます。

一方、6曲目から8曲目にかけては、しっとりとしたバラードが続きます。特に6曲目の『CRESCENT AVENTURE』は、角松敏生自身がライナーノーツで、大ファンである真野響子をモデルとして作曲したと明かしており、そのロマンチックな歌詞とメロディーがリスナーの心を掴みます。アルバムの随所に散りばめられた、角松敏生自身の楽曲解説も、聴き手の理解を深める一助となっています。

楽曲以外にも、本作には豪華なミュージシャン陣が参加しています。ドラムスにはジョン・ロビンソン、ベースにはエイブラハム・ラボリエル、ルイス・ジョンソン、ネイザン・イーストといった、当時第一線で活躍していた実力派ミュージシャンが名を連ねています。その他、ギター、キーボード、サックス、トランペット、パーカッション、コーラスなど、多様な楽器とボーカルが織りなすサウンドは、まさに聴覚的なご馳走と言えるでしょう。

『WEEKEND FLY TO THE SUN』に収録されている楽曲は、その後も様々なベストアルバムに収録され続けています。『CRESCENT AVENTURE』はバラードベスト盤である『T's BALLAD』と『EARPLAY 〜REBIRTH 2〜』に、『I'LL NEVER LET YOU GO』は『1981-1987』に、『RUSH HOUR』は『REBIRTH 1 〜re-make best〜』に収録されており、その人気の高さが伺えます。これらの楽曲は、角松敏生の代表曲として、現在も多くのリスナーに愛され続けていると言えるでしょう。

ジャケットや帯のデザイン、そしてライナーノーツに込められたメッセージも、このアルバムの魅力を高めています。アルバムの帯にはキャッチコピーが記されており、角松敏生の音楽性やアルバムのコンセプトを的確に表現しています。これらの要素は、音楽そのものと合わせて、リスナーに深い印象を与え、アルバムの世界観をより一層豊かにしています。

『WEEKEND FLY TO THE SUN』は、単なる音楽作品ではなく、1980年代の都市生活者の姿を写し取ったタイムカプセルのような存在です。角松敏生の音楽性、そして豪華なミュージシャン陣の演奏、そしてアルバム全体を彩るデザインなど、すべての要素が完璧に調和し、時代を超えて愛される名盤となっています。そのサウンドは、今もなお多くのリスナーを魅了し続けています。

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