FT-817

FT-817：携帯性に優れたオールモードアマチュア無線機

FT-817は、八重洲無線（旧バーテックススタンダード）が製造していた、アマチュア無線機です。HF帯から430MHz帯までをカバーするオールモード対応でありながら、小型軽量な筐体を実現した点が大きな特徴です。

特徴

FT-817の最大の魅力は、その携帯性の高さにあります。乾電池や内蔵バッテリーでの駆動が可能なため、電源確保が難しい場所でも運用できます。また、コンパクトなサイズは、徒歩での移動運用に最適で、山や公園などで手軽にアマチュア無線を楽しむことができます。外部電源にも対応しており、多様な運用スタイルが可能です。

一般的なハンディ機よりも高機能でありながら、モービル機並みのサイズに収まっていることから、「ポータブル機」と呼ばれることもあります。

詳細な機能と仕様

液晶表示: 小型ながらフルドットマトリクス液晶を採用し、必要な情報を表示します。ボタン類は少なく、ファンクションキーとメニューでの設定が基本です。
アンテナ端子: 前面にBNC端子、背面にM端子を装備。メニューで切り替え可能です。BNC端子の方が消費電力が少ないため、電池運用時には推奨されます。
電源: 単3電池8本分のバッテリーを内蔵可能。FT-817NDではニッケル水素バッテリーが標準付属。乾電池での運用も可能ですが、電池の消耗が早いため、長時間の運用には向きません。内蔵電池使用時の最大出力は2.5Wです。
多機能: VOX、ATT、トーンスケルチ、メモリーなどの機能が標準装備。FM、CW、SSBの他、AM、パケット、データ通信にも対応します。オプションも豊富で、テンキー付マイクや追加フィルターなどが用意されています。
外部電源: 定格電圧は13.8VDC±15%。使用可能電圧は8.0～16.0V。
消費電流: 受信無信号時約250mA、受信定格出力時約450mA、送信定格出力時約2.0A。
サイズ: 135mm(W)×38mm(H)×165mm(D)（突起物含まず）。
重量: 約1.17kg（乾電池・アンテナ含む、マイク含まず）。
電波型式: A1A(CW), A3E(AM), J3E(LSB/USB), F3E(FM)。
周波数ステップ: 最小10Hz(CW/SSB), 100Hz(AM/FM)。
定格送信出力: 5W(SSB/CW/FM), 1.5W(AM)（13.8V時）。

主な運用方法

そのコンパクトさから、出張や旅行、登山などに携帯して、ロケーションの良い場所で手軽に運用できます。非常通信にも利用可能です。アンテナチューナーは内蔵していないため、別途必要になる場合があります。

FT-817は、本体に直付けアンテナと内蔵バッテリー、ハンドマイクという最小限の構成から、外部バッテリーと外部アンテナを使用した本格的な運用まで、幅広いスタイルに対応します。純正アンテナは50MHz～430MHzに対応していますが、市販の直付けアンテナを使用すればHF帯での運用も可能です。

FT-817の問題点と課題

発売から10年以上が経過し、バッテリーや省電力性能、DSP機能など、改良が望まれる点も出てきました。

サードパーティの存在

FT-817をより快適に使うための専用アクセサリが、サードパーティから多数発売されています。操作性を向上させるツマミ、ACアダプタ、チルトアップスタンド、冷却ファンなどがその例です。

歴史

2000年8月25日：日本アマチュア無線振興協会(JARD)による工事設計認証。
2000年9月29日：発売。
2001年：グッドデザイン賞受賞。FT-817NDに改良、バッテリーが付属品に。
2005年：無線設備規則改正により、旧認証が無効化。
2007年：JARDによる工事設計認証。
2018年：販売終了。後継機種FT-818販売開始。

脚注

FT-817は、その携帯性と多機能性から、多くのユーザーに愛されてきた名機です。後継機種のFT-818が発売された現在でも、その人気は衰えていません。

外部リンク

ラディックス
* 第一電波工業

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