FUNKYダッコNo.1

FUNKYダッコNo.1

「FUNKYダッコNo.1」は、日本のロックシーンにおいて独自の軌跡をたどったバンド、ハルヲフォン（後に近田春夫&ハルヲフォンとして活動）が1975年5月10日にキングレコードから発表した記念すべきデビューシングルである。この楽曲は、当時、株式会社タカラ（現・タカラトミー）の人気商品であった抱き人形「だっこちゃん」が再発売された際のタイアップ企画として制作された、いわば企画盤としての性格も持っていた。

バンドが1972年に結成されてから初のレコードリリースとなったこのシングルは、タイトルに「FUNKY」と冠していることからもわかるように、当時のファンクミュージックからの影響もうかがえる楽曲となっている。制作時のハルヲフォンのメンバーは、リーダーの近田春夫に加え、恒田義見、高木英一、小林克己、そして紅一点であったキャロン・ホーガンの6人。この楽曲でリードヴォーカルを担当したのは、キャロン・ホーガンであった。

レコーディングは、ハルヲフォンにとって初の経験であり、東京・音羽にあったキングスタヂオで行われた。楽曲の冒頭部分に印象的なシャウトが収録されているが、これは当時のメンバーでドラマーを務めていた長谷川康之の声である。長谷川は「ガンジ」の愛称で知られ、Charや鳴瀬喜博らが在籍したバンド、バッド・シーンでの活動経験も持っていた人物である。

このシングルには、A面に「FUNKYダッコNo.1」が収録され、作詞は石原信一、作曲は近田春夫が手掛けた。B面には「MORE FUNKYダッコNo.1」が収められており、こちらは近田春夫による作曲のみで、インストゥルメンタルまたは別バージョンであったと考えられる。

発表から長い年月が経過しているが、この「FUNKYダッコNo.1」は、ハルヲフォンや近田春夫のアーティスト名義のオリジナルアルバムやベスト盤には残念ながら収録されていない。しかし、日本のコンピレーションアルバムやオムニバス盤に何度か収録されており、現在でもCDとして音源を聴くことが可能である。例えば、2017年3月22日にソリッドレコードから発売された『トイキャラポップ・コレクション VOL.1 <ヒーロー&ヒット篇>』など、特定の企画盤を通じてリスナーに届けられている。

「だっこちゃん」という当時の流行と結びついたユニークな企画盤でありながら、ハルヲフォンの初期のサウンドを知る上でも貴重な音源と言える。1975年という時代背景における日本の音楽シーン、特にロックやポップスの多様性を示す一例ともなっている。

収録曲

FUNKYダッコNo.1
作詞：石原信一、作曲：近田春夫
MORE FUNKYダッコNo.1
作曲：近田春夫

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