Fi 97 (航空機)

フィーゼラー Fi 97

フィーゼラー Fi 97は、1930年代にドイツのフィーゼラー社が製造した4座の単葉機です。この機体は、ツーリング機や競技機としての特性を備えており、特に1934年に行われたヨーロッパ・ツーリング機選手権に参加したことから、その名を知られています。

設計と開発

フィーゼラー社は、さらに発展させた複座単葉機であるフィーゼラー F5の成功を基にして、ドイツ航空省（RLM）からの指導により、特製の4座機を開発することを決定しました。1934年に向けて設計されたこの機体は、クルト・アーノルトが担当し、低翼単葉形式を採用しました。機体の骨組みは鋼管で構成され、外部には羽布が張られています。また、主翼は木製の構造で、羽布と合板で覆われています。

その特徴として、主翼は後方に折り畳むことが可能で、輸送や保管の際に便利な設計がなされています。降着装置は固定尾橇式で、主に短距離離着陸に対応できる性能を持っています。キャビンは密閉式で、パイロットと3名の乗客が収容可能です。

Fi 97には、250 hp（馬力）のヒルト HM8Uエンジンを搭載した機体と、225 hpのアルグス As 17エンジンを搭載した機体がそれぞれ2機ずつ製造されました。これらのエンジンは空冷式で、優れた性能を発揮しました。

最も注目すべき点は、主翼に取り付けられた高揚力装置です。主翼前縁には自動前縁スラットが設置されており、主翼の後縁にはフィーゼラーの特許であるファウラー式フラップが備わっています。これらの装置により、飛行速度を58 km/h (36 mph)まで低下させることができ、後に有名なフィーゼラー Fi 156の設計にも寄与しました。

運用の歴史

1934年8月から9月にかけて開催されたヨーロッパ・ツーリング機選手権では、5機のFi 97が参加しました。その中で、アルグスエンジンを搭載したFi 97のパイロット、ハンス・ザイデマンが見事に総合3位を獲得しました。他のドイツの機体と比較して、全てのフィーゼラー機が競技を無事に終了し、順位は3位（ザイデマン）、9位、12位、13位、16位という成績でした。特に短距離着陸競技では最高記録の75メートルを達成し、第1位と第3位を獲得するなど、目覚ましい成果を残しました。また、短距離離陸競技でも良好な成績を記録しています。

要目

フィーゼラー Fi 97の主要な仕様は以下の通りです。

• - 乗員：1名
• - 乗客：3名
• - 全長：8.04 m
• - 全幅：10.70 m
• - 全高：2.36 m
• - 翼面積：15.30 m²
• - 空虚重量：560 kg
• - 全備重量：1050 kg
• - エンジン：アルグス As 17A 倒立 直列6気筒（225 hp）
• - 最大速度：245 km/h
• - 巡航高度：7300 m
• - 航続距離：1200 km

この高度な性能と技術を持ったフィーゼラー Fi 97は、その歴史的意義と優れた能力から、航空機ファンや歴史愛好者にとっても特に注目されています。

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