FileMaker

FileMaker（ファイルメーカー）とは

FileMakerは、Claris International Inc.（旧FileMaker, Inc.）が開発しているクロスプラットフォームのローコード開発プラットフォームです。最新版は2024年にリリースされています。当初はカード型のデータベースソフトでしたが、バージョンアップを重ねるごとに様々な機能が追加され、現在では高度なデータベースシステムを構築できるまでに進化しました。

歴史

初期のFileMakerはカード型のシンプルなデータベースソフトでしたが、バージョンアップを重ねるごとに、その機能は大きく拡張されました。

FileMaker Pro 3.0：リレーショナルデータベース機能が導入され、複数のテーブルを関連付けてデータを管理できるようになりました。
FileMaker Pro 4.0：プラグイン機能が追加され、外部の機能を利用できるようになりました。また、Web公開機能も実装され、インターネット経由でのデータアクセスが可能になりました。
FileMaker 7.0：多テーブル構造が導入され、ファイル形式が変更されました。これにより、データベースのキャパシティが大幅に増大しました。また、日本語版の表記がバージョン6まではカタカナでしたが、バージョン7以降は英字表記が正式となりました。

現在のバージョンでは、カード型の平易さを残しながらも、大規模なデータベースを構築できる柔軟性を備えています。さらに、簡易DTP機能を備えており、ページデザインの自由度もデータベースソフトとしては高い水準にあります。

製品概要

FileMakerには、以下の製品があります。

FileMaker Pro

FileMaker Proは、ユーザー独自のビジネスアプリケーション（クラリス社では「カスタムApp」と呼称）を作成、変更、利用、共有するためのデスクトップソフトウェア（Mac/Windows）です。FileMaker Pro 11からは、「FileMakerグラフ」（垂直棒グラフ、水平棒グラフ、面グラフ、線グラフ、円グラフなど）、「クイックレポート」（スプレッドシート形式のレポート作成機能）、「スナップショットリンク」（特定時点のレコードを保存して共有する機能）が追加されました。

2018年5月16日に発売されたFileMaker 17で、FileMaker ProはFileMaker Pro Advancedに統合されましたが、その後、2020年5月21日にClaris FileMaker Pro 19として再リリースされ、Advancedの機能は統合されたまま名称が削除されました。

FileMaker Server

FileMaker Serverは、FileMaker Proで作成したデータベースをLANネットワークに公開し、共有するためのサーバーソフトウェアです。バックアップ機能などが搭載されていますが、単体ではデータベースの参照や作成はできません。FileMaker Serverをサーバーマシンにインストールし、FileMaker Proをインストールしたクライアントマシンからネットワーク経由でアクセスします。

バージョン9からは、PHPおよびXSLTを利用したカスタムWeb公開が可能となり、バージョン11ではFileMaker Go（iOSアプリ）により、iOSデバイスからのアクセスが可能になりました。パッケージ製品の販売はバージョン12で終了し、以後はボリュームライセンスのみとなっています。バージョン13からは、FileMaker WebDirectにより、Webブラウザからのアクセスも可能になりました。

FileMaker Go

FileMaker Goは、iPhone/iPod touchやiPad用のユニバーサルアプリです。FileMaker Proで作成したデータベースを閲覧・編集できます。開発機能はありません。2010年7月に発売され、バージョン12から無償化されました。

FileMaker ServerまたはFileMaker Cloudで共有されたデータベースに、Wi-Fiまたは携帯電話回線経由でアクセスできます。また、iTunesのファイル共有でデバイスにコピーし、オフラインで使用することも可能です。主な機能として、データ収集、編集、検索、ソート、AirPrintによる印刷、署名キャプチャ、バーコードスキャン、センサー情報の収集などがあります。FileMaker Go 19では、Siriショートカットのサポート、Core ML（機械学習）モデルの利用、NFCタグのスキャンなどが追加されました。

FileMaker Cloud

FileMaker Cloudは、クラリス社が管理するクラウドサービスで、2020年5月21日に東京リージョンでサービスが開始されました。FileMaker Cloud for AWSの後継としてリリースされ、ライセンス費用、AWS EC2、EBS、S3、データ転送、SSL費用などが含まれたオールインワンのプラットフォームとして提供されています。

FileMaker Cloudでは、ClarisIDを使用してユーザー認証が行われ、OAuth標準トークンや多要素認証が利用可能です。課金はClarisIDユーザー単位で、BYOLや同時接続ライセンス、サイトライセンスでの提供はありません。インスタンスのスペックはユーザー数に応じて自動的に設定され、追加料金でスペックアップやデータストレージの拡張、Data APIの追加などが可能です。

また、FileMaker Cloudは、SOC 2 Type 2 認証とAppleによる ISO/IEC 27001 および ISO/IEC 27018 認証を取得しています。

Claris Connect

Claris Connectは、データの統合・連携を可能にするクラウドベースのサービスで、2020年3月にリリースされました。Twitter、Slack、Dropbox、Box、Twilioなど、多くのエンタープライズAppと連携できますが、FileMakerと関係なく動作します。2020年5月21日には、クラウドサイン（弁護士ドットコム株式会社）とChatwork（株式会社kubell）のコネクタが追加されました。その後も、SmartHR、駅すぱあとWebサービス、メディアSMS、NAVITIME API、iTrustリモート署名サービスなど、多くのサービスとの連携が可能になっています。

販売終了製品

FileMaker Cloud for AWS

FileMaker Cloud for AWSは、Amazon Web Servicesを利用したクラウドサービスで、2017年7月から東京リージョンでサービスが開始されましたが、2022年1月1日にサポートが終了しました。FileMaker Pro Advancedで作成したデータベースを共有でき、FileMaker Pro、FileMaker Go、FileMaker WebDirectからアクセス可能でした。AWS Marketplaceを通じてソフトウェアを購入する方法と、BYOLでFileMaker Cloudに持ち込む方法がありました。

オンプレミスのFileMaker Serverと比較して、サーバーマシンのコストや管理コストが不要、時間単位課金が可能、スケーラビリティの拡張・縮小が容易などのメリットがありましたが、ESSアダプタやカスタムWeb公開がサポートされないデメリットがありました。

FileMaker Pro Advanced

FileMaker Pro Advancedは、FileMaker Proの上位版で、開発ツールやセキュリティ機能（AES256ビット暗号化）が追加されていました。スタンドアロンのランタイムソリューションを作成でき、カスタム関数の作成、スクリプトデバッガによるデバッグが可能でした。FileMaker 17および18では、FileMaker Pro Advancedのみが提供され、2020年5月21日にClaris FileMaker Pro 19として統合されました。ランタイムソリューションの作成機能は、FileMaker Pro 18 Advancedで廃止されました。

FileMaker Server Advanced

FileMaker Server Advancedは、FileMaker Serverの上位版で、ODBC/JDBCデータソース機能とインスタントWeb公開機能を備えていました。同時接続できるFileMaker Proクライアント数に制限がなく、最大250ユーザーまで接続可能でした。バージョン13でFileMaker Serverに統合され、販売が終了しました。

FileMaker Mobile

FileMaker Mobileは、PalmやPocket PCとFileMaker Proで作成したデータベースを連動させるソフトウェアで、2001年にリリースされました。バージョン8で開発が終了し、販売・サポートも終了しました。

ファイルメーカー Mobile for i-mode

ファイルメーカー Mobile for i-modeは、FileMaker Proで作成したデータベースからiモード対応サイトを作るサーバソフトウェアで、日本のみで発売されました。2005年9月に出荷が終了しました。

主な機能

FileMaker Data API

FileMaker Server 16から追加された機能で、FileMakerのデータをWebサービスからアクセスできるようにするAPIです。RESTアーキテクチャを採用しており、他のアプリケーションやWebサービスとの連携が可能です。

FileMaker WebDirect

FileMaker Server 13から追加された機能で、FileMaker Pro/Advancedで作成したデータベース画面をWebブラウザで表示し、データの入力や検索などが可能です。FileMaker Serverとユーザー接続ライセンスまたは同時接続ライセンスの購入が必要です。

カスタムWeb公開機能

FileMaker Server/Server Advancedを利用して、PHP/XSLTを使ったWebページと連携する機能です。

ランタイム生成機能

FileMaker Pro Advancedのみの機能で、作成したデータベースをアプリケーション化し、FileMakerがインストールされていない環境でも利用可能にします。FileMaker 18 Advancedで最終供給となりました。

FileMakerグラフ

FileMaker Pro 11から追加された機能で、垂直棒グラフ、水平棒グラフ、面グラフ、線グラフ、円グラフを作成できます。

クイックレポート機能

FileMaker Pro 11から追加された機能で、スプレッドシートのような形式でレポートを作成できます。

iOS App SDK

FileMakerで作成したカスタムAppをiOSアプリに変換するツールキットです。プッシュ通知、HealthKit、HomeKit、Apple PayなどのiOSテクノロジーと連携できます。FileMaker Developer Subscription（年間サブスクリプション）購入者向けの特典です。

バージョン履歴

FileMakerのバージョンアップ時には、ファイルの互換性を保つ場合とそうでない場合があります。互換性のないバージョンアップの際には、使用する拡張子が変更されます。

`.fmp` = 2
`.fp3` = 3
`.fmj` = 3 / 4.0 / 4.1（日本語版）
`.fp4` = 4
`.fp5` = 5 / 5.5 / 6
`.fp7` = 7 / 8 / 8.5 / 9 / 10 / 11
`.fmp12` = 12 / 13 / 14 / 15 / 16 / 17 / 18 / 19 / 20 / 21

関連項目

Bento
Microsoft Access
Open Database Connectivity (ODBC)

外部リンク

Claris International Inc.
* Claris International Inc. (日本語)

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