Fw 56 (航空機)

フォッケウルフ Fw 56 シュテッサー

フォッケウルフ Fw 56 シュテッサーは、1930年代にドイツで開発された単発・単座の高等練習機です。この機体は、郷土防衛戦闘機（ハイマートシュッツイェーガー）計画の一部として設計され、実用性と多目的な性能を兼ね備えています。高等練習機としての役割に加え、いざという時には軽戦闘機としても使用できることが、ドイツ航空省の要望から反映されています。

開発の背景

この航空機は、フォッケウルフ社の主任設計者であるクルト・タンクの手によって開発されました。1933年11月に最初の試作機が初めて空を飛び、その後の開発過程で試作機は進化を遂げます。1935年には、競作機としてアラド Ar 76やハインケル He 74との比較テストが行われ、その結果Fw 56が採用されたことから量産が決定されました。約1000機が製造され、主にドイツ国内で使用されたほか、オーストリアやハンガリー、ブルガリアでも一部が運用されました。さらに、少数の機体が個人向けに販売された中には、後にフォッケ・アハゲリス社を設立することになるゲルト・アハゲリスが関与していました。

機体と性能

Fw 56 シュテッサーはその構造が特徴的であり、胴体は鋼管骨組みで羽布張りとなっていました。エンジン部分は金属製で、主翼は木製骨組みの上に合板が施されていました。翼の後端は羽布張りとなっており、機体全体として軽量でありながら強度を兼備しています。固定式の主脚と尾ソリを備えたこの機体は、安定した飛行特性を持っています。

機体の性能にはいくつかの重要な数値があります。全長は7.70メートル、翼幅は10.50メートル、全高は3.55メートル、そして翼面積は14.00平方メートルです。自重は695 kgで、最大離陸重量は995 kgです。搭載されるエンジンはアルグス As 10Cという空冷倒立V型8気筒エンジンで、240 hpの出力を発揮します。

最高速度は278 km/h（海面高度）で、航続距離は400 km、実用上昇高度は6200 mとなっています。また、武装としてはMG17 7.92 mm機関銃を搭載し、戦闘機型では2丁、練習機型では1丁の銃を装備しています。さらに、10 kgの爆弾を3発まで搭載することも可能です。

派生型と進化

Fw 56は幾つかの派生型が存在します。最初の試作機はFw 56a、次に試作2号機のFw 56 V2では胴体が改修され、試験的に金属製主翼が採用されました。しかし、Fw 56 V3では再び木製主翼に戻されています。量産型にあたるFw 56A-0の先行生産型が3機生産され、その後Fw 56A-1が主要な生産モデルとなりました。これにより、Fw 56は高等練習機としての地位を確立しました。

急降下攻撃戦術の支持者であるエルンスト・ウーデットは、Fw 56 V2を使用して急降下爆撃実験を行ったことも評価されています。フォッケウルフFw 56は、その性能と多用途性が認められ、ドイツ航空史において重要な位置を占めることとなります。

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