Gファンク

G[ファンク]

Gファンクは、1980年代後半にアメリカ合衆国カリフォルニア州で生まれたヒップホップのサブジャンルの一つです。その音楽的な特徴は、ヒップホップの基本的な要素であるサンプリングに加え、生楽器も積極的に用いる点にあります。シンセサイザーによる独特のメロディー、ファンクと緩やかなサウンドを組み合わせたグルーヴ感、そしてサビでのコーラスの使用などが挙げられます。

Gファンクには大きく分けて二つの流れが存在します。一つは、ドクター・ドレーを筆頭とするデス・ロウ・レコード所属のアーティストたちが作り出した、ハードコアなサウンドです。この流れは、ヒップホップの力強さと、ギャングスタの雰囲気を強調したスタイルが特徴です。一方、ウォーレン・Gやネイト・ドッグらは、ファンクに加えてアダルト・コンテンポラリーなどの要素をサンプリングに取り入れ、よりリラックスした雰囲気のサウンドを創り上げました。彼らの音楽は、よりメロウで聴きやすい印象を与えます。

Gファンクのサンプリング手法は、EPMDやボム・スクワッドなどのように複数の音源を細かく使用するのではなく、単一の音源をベースに楽曲を構成することが多いのも特徴です。これにより、シンプルでありながらも独特のグルーヴ感が生まれています。

プロデューサー、そしてラッパーとしても活躍したドクター・ドレーは、ジョージ・クリントンらのPファンクをベースに、ヒップホップの要素を融合させ、緩やかなテンポでありながらも緊張感のある独特のサウンドを創り出しました。このドレーのスタイルは、多くのフォロワーを生み、デス・ロウ・レコードはドレーが去った後も、彼のサウンドスタイルを継承しました。

代表的なラッパー

ドクター・ドレー
スヌープ・ドッグ
ザ・ドッグ・パウンド
ネイト・ドッグ
ウォーレン・G
2パック
ボーン・サグズン・ハーモニー
ダズ・ディリンジャー
クラプト
DJクィック
トゥー・ショート
コケイン
シュガ・フリー
アバヴ・ザ・ロウ

参考文献

ソーレン・ベイカー『ギャングスター・ラップの歴史 スクーリー・Dからケンドリック・ラマーまで』塚田桂子訳・解説、DU BOOKS、2019年9月。

関連項目

R&B
* ソウル・ミュージック

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